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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
憑獣街 1
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 笑いと私語。喧騒に包まれる中で、机に突っ伏して燃え尽きる生徒が一人。土御門春虎だ。

「抜き打ちテストとか、聞いてねーぞ……」
「そりゃあ事前に知らせたら抜き打ちじゃなくなるじゃないか」
そう答えたのは隣の席のもう一人の土御門。艶やかで美しい黒髪と白皙の美貌があいまって、まるで美少女のような美少年。土御門夏目だ。
「春虎、今のテスト――」
「言うな、聞くな、見るな!」
「どこのお猿さんだよ、もう……。ねぇ、どこがわからなかったの?」
「だから聞くなって」
「じゃあ、いくつわからなかったの?」
「ぜ、ぜんぶ……」
「は、春虎〜」

 春虎の情けない返事に、夏目まで情けない声を出す。

「いいかい春虎、テストの問題なんてのは授業で教えた範囲内からしか出さないものなんだよ。きちんと授業を聞いて要点さえ記憶していれば、あとはそれを応用するだけ。テストなんて要領さえ良ければ、いくらでも得点できるんだからね!?」
「ぐはぁっ」
「とどめのひと言だな、優等生」

 はたから二人のやり取りを見て、そう苦笑するのは阿刀冬児。こちらはテストの結果にはそれなりに自信がありそうだ。
 そして夏目と双璧をなすもう一人の優等生、倉橋京子が賀茂秋芳に声をかける。

「……バカ虎はあいかわらずね。あなたはどう? 陰陽塾(うち)のテストは始めてでしょ、どうだったかしら?」
「ああ、話には聞いていたが、問題文というのは本当に偉そうな文章なんだな」

 塵も積もれば山となる。一文字一文字のインク代もバカにはできない。
 『〜を解け』『〜を解いてください』『〜を解いていただけませんでしょうか、よろしくお願いします』では全然ちがう。

「だから環境やコストのことを考えれば、ああいう文章になるのはしかたがないとはいえ、いい気はしないな」
「……それで内容のほうはどうだったのよ?」
「ん〜、まぁ、だいたい合ってると思うよ」
「ふぅん、じゃあ軽く答え合わせしてみましょう。あたしも少し不安なところがあるから」
「ああ、つき合おう」
「卜占の問〇〇、式盤をもちいた六壬神課の手順を次の番号の中から正しい順番通りに選び、並べよ」
「順に5、7、2、6、9、4。関係ないものが四つも混ざってて、まぎらわしかったが、まず時刻の十二支から天地盤を、続いて四課を出し、天地盤と四課から三伝――、てのをおぼえときゃ、間違わないはずだ」
「あたしも同じね、あと厭魅の問〇〇――」
「それぞれ人形を矢で射抜く仙法(そまほう)、鈍器で叩く天神法、針や釘で刺す針法」
「巫蠱の問〇〇――」
「ええと、金蚕蠱(きんさんこ)
「風水の問〇〇――」
「んー、演禽風水?」
「え? 河洛風水じゃ……」
「む、どっちだ? 俺も不安になってきた」
「じゃあ最後の
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