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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
憑獣街 1
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ると、彼らはまるで電気に打たれたかのように体をびくりと震わせ、次々と地に倒れる。
京子はまず純が陰陽塾を使ったことに驚き、次に早九字で男たちが昏倒したことに疑問をおぼえた。あれは邪を退け、魔を祓う。霊災修祓の術であり、生身の人間にはなんの効果もないはずだ。そう、生身の人間には……。
「京子ちゃん。お願い、来ないで!」
そう叫び、脱兎のごとく走り去る純。
なんだなんだと言う野次馬たちの喧騒の中には、純の使った呪術に言及する声は聞こえない。彼らにはなにが起こったか理解できないのだろう。
見鬼の力を持たない者には、ドーマンを行使した時の光も見えてないはずだ。
「もうっ、ほうっておけるわけないじゃない……」
もとより世話好きのお姉さん気質だ。
京子は純の後を追いかけた。
その直後。地面に横たわる十人の体から、立ち上る瘴気に気づくことのできた人間は、この場にいなかった――。
路地裏のさらに奥の奥。
京子はようやく純に追いつけた。
これでも運動神経や体力は同世代の女子にくらべて高いほうであり、走るのも自信がある。倉橋の家に生まれたからには、文武両道をたしなまなければいけないからだ。
「京子ちゃん……」
「もう、なにがあったんです? あいつらいったい……、木ノ下先輩……。だいじょうぶですか?」
落ちくぼんだ目、げっそりとした頬、荒い息。あきらかに憔悴している。
化粧も落ちたその顔はしかし、精悍で普段のガーリーな装いとは別のワイルドな魅力が感じられた。
(やだ、木ノ下先輩って、かっこよかったんだ…)
こんな状況にもかかわらず、思わずそんな考えが頭に浮かぶ京子だった。
「京子ちゃんを巻き込むわけにはいかないわ。ほうっておいて」
「もうじゅうぶん巻き込まれてます」
「でも、これ以上はもう私に関わらないほうがいいわ」
そう告げる純の姿は、まるで追いつめられた獣のように見えた。
怯えや不安の色がありありと見え、発言とは裏腹に助けを求める気配が濃厚だ。
もうちょっとで説得できる。
「わけありの塾生を見捨てることなんかできません。……それ、呪術がらみですよね?」
純のかかえる包みを指差す。
「う…」
純が胸にしっかりと抱きかかえている包み。
そこからはなにか得体の知れない、怪しげな気配。まさに妖気がひしひしと伝わってくる。
「それを狙われてるんですか?」
「…………」
「木ノ下先輩!」
グルルルルルル――
!?
グルルルルルル――
キィーッ キイキィキィーッ
カァーカァーッ カァーッ
ナァァァァー ナァァァァー
突然あたりから響く、獣の鳴き声。漂う獣臭。
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