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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
たわむれ
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んでおぼえていくもの。って教えてくれなかったの」
「そういや射覆の授業は二年からだな」
「でも一年でやるのは基礎的なことだけだし、正直退屈なのよね。どうせならすぐにでも、もっと専門的なことを学びたいの」

 春虎あたりが聞いたら卒倒しそうな科白だ。なんとも優等生らしい。

「射覆に関してはひたすら見鬼の力を磨け。としか言えないな。小手先の技術どうこうでどうにかできる類の術じゃないし」
「そう…、まぁいいわ。ちょっとあたしもやってみるから箱になにか入れてちょうだい」
 それから何度か射覆に挑戦する京子。秋芳の方もふざけずにつき合う。わかりやすいよう、色が濃かったり形に特徴のある物を入れてあてさせる。達人は紙に書かれた文字まで読み解くとされるが、さすがに初心者レベルでそれは無理だ。

「賀茂の口伝に『年毎に咲くや吉野の山桜 木を割りてみよ花のありかを』という歌がある。実体のある物ではなく、対象の気≠サのものを感じるんだ」
「…なかなか含蓄のある歌ね。わかったわ」

 京子の正解率は悪くなかった。さすがは倉橋の、星詠みの塾長の孫だと改めて実感する秋芳。気を視る力以上に勘の鋭さを感じさせる。

「ふぅ……、さすがに疲れたわ。て、もうこんな時間じゃない! そろそろ帰りましょう。なんだかあなたにつき合うつもりが、途中からあたしの方につき合わせちゃったみたいね、ごめんなさい」
「いや、そんな謝らなくてもべつにいいよ。楽しかったから気にしないでくれ」
「そう言ってくれると助かるわ」

 夕暮れに染まる塾舎。黄昏が赤い影が落し、独特の陰影が廊下を彩る。
 昼でも夜でもない狭間の時。陰と陽が入れ替わるわずかな刻。
 逢魔が時。陰陽師ならば警戒し忌避すべきこの魔性の時間帯が、秋芳はきらいではない。

「さっきの映画の話なんだけど」
「うん?」
「明日の祝日に観に行くわ」
「それは良い。思い立ったが吉日だ」
「でね、思い出したんだけど、あたしって他の塾生よりもあなたに一日早く出会ってるでしょ」
「ああ、そうだな」
 忘れもしない。秋芳が京子と出会ったのは入塾前日の代々木公園でだ。
「でも、あたしあの時にあなたの名前を聞きそびれてるの」
「そういえば、そうだったかもな」
「みんなより一日早く会ってるのに、名前を知ったのはみんなと同じ。な〜んか納得できないわ」
「まぁ、わかる気がする」
「一日ぶんの遅れを取り戻してバランスとりたいの。あなたも明日つき合って」

 その理屈はいまいちわからない。だが、予定もないのに女の子からの誘いをむげにする理由もない。まして相手は倉橋家の才媛。こんなお嬢様と同じ時を過ごせるだなんて実に幸運なことである。

「喜んでつき合うよ。……デートだと思っていいのかな?」
「ええ、そう
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