暁 〜小説投稿サイト〜
東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
たわむれ
[3/9]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
な話じゃなくて恋の話だよ」
「女の子の服の匂いを嗅ぐのが恋バナ? そんなのただの変態じゃない」
「信濃なる、千曲の川のさざれ石(し)も、君し踏みてば玉と拾はむ」
「え?」
「……たしか万葉集だったかしら。その歌がどうしたのよ」
「わ、すごい倉橋さん知ってるんだ」
「河原に転がっているただの小石でも、愛しいあなたがじかに踏んだと思えば大事な大事な宝物。宝石として私は拾いますよ。好きな人の触れた物、接した物すら大事にしたいと思う恋愛心理だよ」
「人の服の匂い嗅いでハァハァするのと、それは次元がちがうでしょ」
「いやいや、恋愛と匂いは密接な関係にあるんだ。そうちがうとも言い切れないぞ。たとえば夏目が自分の着ていた上着を寒いからとかけてくれて、その瞬間彼の匂いがほのかに香ったら、なんとも言えない心地になるだろう?」
「そ、それは……。そうね。て、なんでそこで夏目くんの名が出てくるのよ!」
「そりゃあ、なぁ」
「そりゃあねぇ」
目を見合わせる秋芳と天馬。
倉橋京子が土御門夏目に好意をよせていることは、はたから見れば一目瞭然だ。
「もう、この話はおしまいっ」
そう言ってきびすを返し、自分の席に向かった京子がクルリと振り返り秋芳に問いかける。
「ところであなた、今日も放課後は自主練?」
「ああ、そのつもりだ」
日々の学習や鍛練なくして上達などありえない。
生まれつきの能力差というものは確かに存在する。だがどんなに優れた天稟の持ち主でも、いっさいの努力や修練もなしに高みに昇ることなぞできるわけがないのだ。
歌でも運動でも芝居でもなんでも、その道のプロと呼ばれる人たちは普通の人が遊んだり寝てたりしている時間を練習に費やしているからこそ、プロの座にいられるにちがいない。
「実技室を使わせてもらって簡易式の操作練習をする予定だよ」
授業時間外であっても講師の許可があれば塾内の学習施設は最終下刻時間まで利用可能だ。もっとも一人一人の生徒がいちいち講師にうかがいを立てていては煩雑なため、この決まりはほとんど有名無実化していて、黙って居残り勉強をしていても特に注意されるようなことはない。
「あたしもつき合ってあげるわ」
「それはまた、どういう風の吹き回しだい?」
「べつに、ただの気分よ。こ〜んな可愛い子が勉強見てあげるんだから、感謝なさい」
「ああ、嬉しいよ。放課後を楽しみにしてる」
放課後の実技室。
実技室といっても地下の呪練場ほど凝った造りはしていない。
室内の呪力・霊力が外に漏れることがないよう、扉や窓の上部に注連縄や御幣で結界が張られている以外は一般の教室と同じような造りになっている。
机の上に人の形をした紙片が二枚ひょこひょこと動いている。太い十字架の上部だけ
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ