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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
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に残ってなければおかしい』なんですって」
なるほど、たしかにそうだ。一理ある。
「風水をもちいた中国の歴代の王朝。高い文化を誇った唐も、強大な力を持った漢もたしかに滅びました。けれども中国は滅んではいません。日本もそう。京都は応仁の乱や戊辰戦争で、江戸・東京は明暦の大火、関東大震災、東京大空襲でなんども焼け野原になりました。けれどもそのたびに蘇り、こんにちの繁栄を築いています」
ひとつの国家、ひとつの王朝の存続よりも、さらに広く長い視野で見たらそう見える。
「それが、風水の持つ真の力のおかげだと?」
「さぁ、それはどうでしょう? そうかも知れないわね。けれども私は風水に力があるのではなく、風水を信じる人の力がそうさせるのでは? と思ってるわ」
なんとなく、この人の言わんとしていることが伝わってきた。
「陰陽師と陰陽術もそう。どんなに強い力や優れた技でも、そこに人の想いがなければなんの意味もないわ。ここに通う生徒のみんなには、なによりも人であって欲しいの」
陰陽術は霊災を鎮めるだけの技術ではない。
質量保存の法則を無視して無から有を生み出し、離れた場所に居る相手を害することもでき、鬼神や精霊を意のままにあやつることもできる、強力な力だ。
呪術になじみのない一般の人々にとって、それは脅威であり恐怖だ。
そして陰陽塾に入った全員がプロの陰陽師になれるわけだはない。
むしろ途中で退塾する者のほうが多い。
そんなプロになれなかった「落ちこぼれ」たちの使う陰陽術でさえ、力を持たない普通の人たちからすれば、前述のとおり脅威であり恐怖である異能の力だ。
中途半端に力のみを身につけた輩が巷にあふれたらどうなるか?
呪術による犯罪は後を絶たず、世間の陰陽師に対する偏見は悪くなる一方だろう。
そのようなことがないように陰陽塾では精神修養も大事にしたい。塾長はそう言いたいのだと、秋芳は解釈した。
「はい、わかります。しかし……、まるで優れた陰陽師は人ではなくなる、みたいな言いかたですね」
「それ、かなり鋭いわね秋芳さん。たとえ本人にそのつもりがなくても、人ならざる存在に祭り上げようとする人たちが大勢いれば、そういうふうに『成って』しまうことだってありえるわ」
「ああ…、土御門夜光と、夜光信者のことですね」
土御門夜光。
太平洋戦争の狂乱のさなかに現れた稀代の天才呪術師は軍部からの要請に応え、現代陰陽術の基となる帝国式陰陽術を産み出した。
しかしその功績の一方で敗戦直前に軍に命じられた呪術儀式に失敗。その影響で東京は日本でも一、二を争う霊災多発地帯となってしまった。
「ええ、そう。彼だって私たちと同じ、笑いもすれば泣きもする、人格を持った普通の人間だったんですよ。…まだ私が
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