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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
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れども、陰陽塾はただの陰陽師を養成するだけの機関ではないの」
倉橋美代の瞳が秋芳をまっすぐに見すえる。
「お二人は天海僧正が江戸に施した呪についてどう思います?」
南光坊天海。徳川家康の参謀として江戸の街を京の都に匹敵する風水都市に造り上げた高僧。陰陽道や風水、密教といった呪術の達人だ。
風水において土地が繁栄するためには四神相応の地であることが求められる。
東に青龍の宿る流水。
西に白虎の宿る大道。
南に朱雀の宿る湖沼。
北に玄武の宿る丘陵。
中国の長安、洛陽。日本の平安京などはこれらがそろった理想的な土地といえる。
では江戸はというと――。
「……凄い。のひと言ですね。言霊の呪による見立てをもちいて、あそこまで堅固な結界を築くだなんて」
「え〜と、京都の地相を江戸に再現しちゃったんだっけ?」
江戸は本来なら四神相応の地ではない。
むしろ風水的には下に属する。
北には山と呼ばれるほどの丘陵はなかった。それを天海は麹町台地から望む富士山を「北」に見立てることにより、日本最高の霊山を北の玄武に仕上げた。
さらに新たに造られた寛永寺に東叡寺という山号をつけることで「東の比叡山」として鬼門封じの寺社に仕上げたり、不忍池を琵琶湖に見立てるため、竹生島になぞらえた中之島をつくり、弁財天を勧請して祀るなど、京の地相を江戸という未開の地に再現してしまったのだ。
その他にも大小無数の呪的防御陣を敷くことにより、江戸は強大な魔法陣都市として二百六十年の長きにわたって栄えさせた――。
これらのことは現代に生きる陰陽師たちにとって常識だ。
「では天海がそうまでして護ろうとしたものは、いったいなんだと思います? 徳川の家かしら? それとも江戸の町?」
「え?」
この質問は秋芳にとって盲点だった。
はて、改めてそう問われると、どちらだろう?
会津に生まれ、比叡山延暦寺などで修行をつんだという南光坊天海。
三河の国の領主だった徳川家康。
どちらも江戸の地に縁もゆかりもない。ことさら江戸の地に愛着はないはずだ。ならば…。
「それはやはり、徳川家では?」
「ボクは江戸の町だと思うなぁ」
二人同時に別々の答えが出る。
「そうですね。彼があらゆる呪を使ってこの地に敷いた方陣はすべて徳川の権威と繁栄を護るためのもの。ですが結果的には長い時代に渡って、江戸、東京。さらには、この日本という国を護ることになったのも、また事実です。ひょっとしたら、そこまで計算していたのかも」
この人はなにを言いたいのだろう? 黙って続きを聞く。
「風水など無意味。という考えの人もいます。そういう人が言うには『風水に本当に力があるのなら、最初にそれをもちいた王朝が今も滅びず
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