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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
入塾
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して、塾長の倉橋美代です」
 
 ニャー。
 秋芳の脇をトトト……、とすり抜け、美代の膝の上に乗る三毛猫。

(あれは猫だが猫ではない。はて、使役式か人造式のどちらだろう?)

 みごとな穏形であざむいてくれた猫の正体を知りたい欲求を抑えつつ、塾長・倉橋美代に軽く会釈をする。

「はじめまして、賀茂秋芳です」
「こんにちは、秋芳の?伴(パートナー)の笑狸です」

 軽く挨拶をしたあと、入塾についての事務的な会話をする。

「ところで、きのうは孫を助けてくれたそうですね。ありがとう」

 やはりあの京子は倉橋の京子だったか。

「助けたというほどでは…。少し気分が悪そうでしたのでここまで送っただけです」
「そんなふうに謙遜なさらずよいのですよ、あの子。とても感謝してました。…あなた、あの子にどんな印象を受けました?」

 おっぱいが大きかったですね。

 そんなことを口にできるわけがない。

「とても聡明そうだと思いました。あと――」

 おっぱいが大きかったですね。

「責任感が強く、仲間思い。少し話をしただけですが、言葉の端々からそんな思いが伝わってきましたね。それと――」

 おっぱいが大きかったですね。

「ここに通ってると教えてくれたので陰陽術についての話をしたのですが、たいへん物知りでおどろきました。学校の成績も優秀な、いわゆる優等生。委員長タイプの人かと」

 なによりおっぱいが大きいですね。

「ああ、それと声。声に力があって綺麗で、心の底から美声だと思いましたね」

 これは本当だ。
 もちろんたった今、口に出して言った数々の言葉も、嘘偽りない京子に対する評価だが、巨乳と美声の持ち主。というのが秋芳の京子に対する第一印象だ。

「フフフ、ありがとう。そんなふうに孫を褒められて嬉しくならない祖母はいませんよ」

 良い歳の取り方をしている人だ。コロコロと笑うその表情を見ていると、そんな思いが浮かぶ。

「お二人とも、あの子と仲良くしてくださいね」

 二人とも。美代はたしかにそう口にした。使役式である笑狸を一人の存在として認めているのだ。
 陰陽師の中にはたとえ鬼神や霊獣のような出自の使役式でさえ、ただの道具としてしか見ない者もいるが、彼女はそのようなタイプではないらしい。

「ここは一般の学校とは違って、能力のあるものは勝ち残り、劣っているものは去っていく。優勝劣敗の世界です」

 それはそうだろう。内裏にこもって卜占や暦を作っていた昔とは違う。
 現代の陰陽師は東京を中心に多発する霊災を鎮めるのが主な仕事。つねに死と隣り合わせの危険な職業であり、ここはそんな職に就く者を養成する、実力主義の学び舎だ。

「それが陰陽塾の方針です。け
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