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歌集「春雪花」
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 年ふれど

  憂き身はさらに

   変わらじを

 君なきつらさ

    君はなからじ



 何年経っても恋に憂う私の身は変わらない…。

 そんな私を…彼はどう思うだろうか…。

 彼に会えないこの辛さ…寂しさに暮れて、こうして歌を綴っていても…

 彼にはこの辛さは届くことはない…。


 彼は私などどうとも思ってないのだから…。



 頭にも

  雪そふりける

   霜月の

 小夜の木枯らし

    時追いにける



 遠くでは雪が降ったとか…私の頭にも、雪が降ったように白髪が増えてしまった。

 そんなことを思う十一月の夜更け…ふと木枯らしが吹き抜け、辺りの木々をざわめかす…。

 まるで時間を追い掛けて…少しでも早く進ませようとしているように…。

 私はもはや老いてゆくだけ…彼を想い煩い、寂しさだけが隣に居座る…。


 なんとも侘しき人生…想いを伝えることもないまま人目を忍び…ただ死にゆくのだろう…。




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