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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
序章
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人に宿るものだから」
武術と魔術は似ている。なかなか鋭い発言をする少女だ。そう思い、あらためて少女を観察する。
「陰陽術って、君ひょっとして陰陽塾に通ってたりする? ここの近くだよね。陰陽塾」
「ええそうよ! あたし倉橋京子。陰陽塾の生徒です」
誇らしげに胸をはり、自己紹介する少女――倉橋京子。
「それは奇遇だな! 実は俺も明日からそこに通うことになってるんだ。俺の名は――」
「あなたも入塾正なのっ!?」
突然声を荒げ、苦虫を噛み潰したような顔になる京子を見て。
(ふむ、美人てのは歪んだ顔も綺麗なもんだ)
などと思いつつ。
「あー、いきなりどうしたの、そんな顔をして? あなた『も』って、どういう意味?」
「……この時期に入塾なんておかしくないですか?」
秋芳の問いには答えず、ジト目で逆に問いかけてくる。
入塾する時期におかしいおかしくないなんてのがあるのだろうか? 『季節はずれの転校生』なんてフレーズがあるが、ちょうどそんな時期に重なったのか?
自分もあんがい世事にうとい。だが陰陽塾への入塾は正規の手続きをして完了しているのだ。やましいことはない。
「ええと、なんだ。俺は……」
秋芳は周りの空気の変化を敏感に察した。
おかしい。
なにかが変わった。
気づかないうちに、なにかが変わった。
「なんですか「俺は」なんですか?」
「なぁ、陰陽塾のお嬢さん。気づかないか?」
「はぁ? なにをです。ごまかさないで――」
「カラスの鳴き声がしない」
「え? あ!」
けたたましく鳴いていたカラスたちの鳴き声がまったくしない。
いや、そればかりか人の気配、喧噪、騒音。そういった人いきれすらもまったく感じられない。
いくら朝早とはいえ、これはおかしい。
さらに空気の流れ、それ自体すら止まったかのよう。
そうだ。空気が流れていない。
ドロリとした蒸し暑い大気があたりを支配している。
広い公園の中だというのに、まるで密閉された空間の中に閉じ込められているような、息苦しい感 覚。
霊的な抵抗力のない普通の人間なら、ただそこにいるだけで疲労してしまう。そんな類のいやな気が充満している。
「こ、これって、異界化してる!? 霊的災害。フェーズ2?」
(たしかに異界化してるな。それもなんの前兆もなく、急にだ。これはちと厄介かもな)
「ねぇ、外に出てみましょう。……出られたら、だけど」
「そうだな試しに行ってみるか」
とりあえず最寄りの出口。原宿駅側に行ってみる。
舗装された道を二人して進む。が、歩けど歩けど距離が縮まない。
遠くに見える景色がいっこうに近づいてこない。
「まいったわね。あたしたち、完全に捕われちゃってる。ねぇ、やみ
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