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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
序章
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あなたお坊さん? 今のって少林寺拳法かなにか?」

 髪形のせいでよく僧侶にまちがえられることの多い秋芳にとって、これはよくある質問だ。
正直うんざりしてる。

「俺は坊さんじゃない、この頭はただのファッション。それと今の技は少林拳でも少林寺拳法のものでもない」
「え? えっと、少林寺拳法と少林拳てちがうの?」
「ちがう」
 
 キッパリと言い放つ。
 少林拳とは中国河南省。嵩山少林寺で生まれた生粋の中国武術であり、少林寺拳法は日本人の宗道臣が数多の中国拳法を基盤に創設した日本発祥の武術だ。
おそらく日本人の多くは少林拳と少林寺拳法を混同し、別のものとして認識してない。
 けれどもこのふたつはまったく別の存在だ。
 それらのことをザックリと簡単に、けしてオタクっぽくならないように説明する。

「へぇ、そうだったの。ぜんぜん知らなかった。ええと、じゃあ太極拳?」
「太極拳じゃないけど、まぁ似たようなものかな。ちなみに太極拳にも色々な流派があって、有名どころだけでも五つの流派があるんだよ」
「そんなに! これから習おうって人は大変ね。どれにするか迷っちゃうじゃない」

 少女の顔を見て話しつつ、視線はしっかりとその豊かな胸のふくらみをとらえていた。
 少林拳をはじめ、中国武術には八方目(はっぽうもく)。という言葉がある。
 これは目を動かさず、一点を見つめたままで視界全体にあるすべてを視ることができる技であり、極めれば文字通り左右や背後。四方八方にいる者の動きすら見抜けるという。
 この男はそれを視姦目的に使っているのだ。
 賀茂秋芳。そういう男である。

(やっぱりでかい胸は最高だな。男は筋肉、女はおっぱい。この世には貧乳好きなんてのがいるそうだが、そんな奴らの気が知れないね)

「武術っていっぱいあるわよね。なんか魔術に似てるわ。そういうのって他の流派の良い所だけあつめて一つにしようとかしないの? 陰陽術みたいに」

 こんにちに伝わる陰陽術。帝国式・汎式陰陽術といった甲種呪術は土御門夜光が戦前に軍部からの要請を受けて作り上げた呪術体系であり、本来の陰陽道だけでなく、修験道や密教系、神道系――。
 その他、日本に存在するありとあらゆる呪術が一つに統合されたものであり、それを成した土御門夜光その人が陰陽師であったため、魔術や呪術の類といえば陰陽術。
 というのが現代日本では常識だ。

「あるよ、そういう流派。総合格闘技とか呼ばれてるやつ。でもその総合格闘技を掲げる団体自体がこれまたいっぱいあるんだよね」
「あらら」
「まぁ、たくさんのものを一つにまとめるのは大変だし、誰もが夜光さんみたいなカリスマと能力持ってるわけじゃないからね。それに強さっていうのは結局、武術の種類や流派なんかじゃなく、個
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