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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
序章
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「だろう? 修学旅行で枕投げや肝試し。うれし恥ずかし告白タイムだの、楽しそうじゃねぇか」
「あと体育祭とか文化祭も楽しそう!」
「そうだな。祭りそのものもいいが、準備も面白くてずっとしてたいって言うしな」
「それとバレンタインデーにチョコレート渡しっこしたり、クリスマスにプレゼント交換したり」
「おお! いかにも青春て感じだよな」
「プロムパーティーで豚の血をぶち撒けられる!」
「『キャリー』かよ! 俺はいじめるのも、いじめられるのもごめんだぜ」
「それで卒業式に伝説の樹の下で告白タイム!」、
「伝説の樹ってなんだよ?」

 人間界の娯楽については妖怪である笑狸のほうが一日の長があった。なにせ十年以上前に秋芳に折伏されてからというもの、人の身に姿を変え、アニメや漫画。ゲームやライトノベルといった若者文化を堪能してきたのだ。
 昔流行った恋愛シミュレーションゲームについて軽く説明する。

「ん、まぁ、とにかく。潜入するなら講師としてではなく学生としてだ。これを機に正式に甲種呪術の資格も取りたいしな。自分で言うのもなんだが、そろそろ有名になってきてもおかしくない頃合いだろ」
「ずっとモグリでやってきたからね〜」

 数多の零災を鎮めてきた秋芳だが、それはあくまで影働き。表向きはすべて賀茂宗家の人間の手柄になっている。
 土御門・倉橋の定めた帝式・汎式の陰陽術。いわゆる甲種呪術に拒否感をしめす賀茂家の陰陽師のほとんどは、乙種呪術。
 甲種呪術以外の呪術全般をもちいている。
 しかしそれでできることには限度があるし、権限も限られている。
 いざという時に無資格であることを理由に陰陽庁から横槍を入れられぬよう、やはり正式な免状が欲しい所である。
「……て、ちょっと待てよ」
「なに?」
「そうだよ。俺は正式な『陰陽師の資格』なんて持ってないんだぞ。講師として潜入なんて最初から不可能だわ」
「あ、そうだね。言われてみれば」
「じじいども、本格的にボケやがったか……。まぁいい。宗家のやつらに直接かけあってやる。なぁに、俺からの頼みをイヤとは言わせないさ」

 賀茂家にはじゅうぶん貢献してきた。それに幼少の頃から畏怖の念をいだかれている自分の発言力には自信がある。
 韓国連(からくにのむらじ)広(ひろ)足(たり)の再来とも呼ばれ、こんにちまで絶えていた呪禁の術を現代に蘇らせた。そんな自分の言を、無視できるはずがない、と――。



 約一か月後。
 渋谷区代々木公園。朝も早くからカラスたちの鳴き声があたりに響きわたり、静謐な空気を切り裂いている。都心に巣くうカラスの数は一万匹とも二万匹とも言われ、その多くはこの代々木公園を寝床にしているのだから無理はない。
 前日の遅くまで降っていた雨のため、舗装されて
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