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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
序章
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京子を狙い飛んでゆく。

「五行の理を以て、清涼なる水気、不浄な火気を祓いたまえ! 水剋火! ?急如律令!」

 だがそれらはみな京子の放った水行符により雲散霧消する。

(お見事! 式を操りながら自身も術を行使する。陰陽塾の生徒のレベルは俺の予想以上らしい。さて、お次は場に満ちた水気を利用して水生木。蔦で絡め取るか、木の枝で刺し貫くか?)

 秋芳がそんなことを考えていると、白桜・黒楓が突然式符にもどった。
 よろめき倒れそうになる京子。
 いそいで駆けつけ抱きとめる。呼吸が荒く、全身から滝のように汗を流している。

「おまえ、こんなに消耗してたのか? 無理しやがって」

 表情ひとつ変えずに式神を使役していたので気づかなかったが、かなり無茶をしていたらしい。だが考えてみれば当然か。並の人間なら居るだけで体力を奪われるような陰気あふれる蒸し暑い結界内で、歩き続け、術の行使を続けていたのだ。

「守らないと……、あたしは、倉橋の、人間だもの……」
「守ったさ、もうじゅうぶんに。守られてたおかげで俺は相手の特徴を知ることができた。助かったよ、だから少しお休み」

 優しく声をかけ、両手で抱き上げ、即座に駆け出す。
 
人を一人抱きかかえているとは思えない速さで駆ける秋芳の後ろ姿を一瞬あっけにとられて見ていた佐藤たちだが。

「「「逃がすか!」」」」
「「「追え!」」」

 すぐに追走を始める。

(これ一度やってみたかったんだよね。女の子の半魚人持ち) 
 俗にお姫様抱っこと呼ばれる抱き上げ方を、秋芳はそう呼んでいる。

 『大アマゾンの半魚人』という古い怪奇映画の中で、半魚人がヒロインをそのように横抱きにするシーンがあるからだ。
 中央広場まで戻り、ベンチにそっと京子を寝かすと、その上に一枚の札を置き、おもむろに呪文を唱え始めた。

「我祈願、北斗神君。神兵利器不侵入」

 我は北斗の神に祈り願う。いかなる凶器も傷つけることができぬよう。

「我祈願、五路神。万怪塞入」

 我は五路神に祈り願う。あやかしが入らぬことを。
 人の生死を司る北斗の神。それと道の神にそれぞれ祈願し、京子の身に危害がおよばぬよう二重の防衛術を張る。
 長くはもたないが、しばらくは外部からの攻撃は防ぐことができる。

「「「逃がさぬ」」」
「「「追いついたぁ」」」
「「「あきらめろぉぉぉ」」」

 術の完成を待っていたかのようなタイミングで佐藤の群れが追いつき、秋芳を取り囲む。
 その数はさらに増え、さっきの倍はいる。

「目をつけた獲物を歩きまわして弱らせようとしたり、数で翻弄し、ことさら人を嬲る足のない幽鬼。おまえ纐纈鬼だろう」

 纐纈鬼。
 生前に人の生き血を搾り、啜り
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