暁 〜小説投稿サイト〜
東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
序章
[14/18]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話

 符術をたしなむ者には覚られずに大量の札を持ち歩くことが求められる。現代の陰陽師には隠匿のスキルもまた必須なのだ。
 京子を護るように二体の式神が姿を現す。
 ロボットを彷彿とさせるメカメカしいデザインの鎧武者で、濃い桜色の方が太刀を、黒色の方が薙刀を手にしている。
 いずれも市販されている人造式「モデルG2・夜叉」に京子が独自の改良を加えた護法式であり、名をそれぞれ白(はく)桜(おう)、黒楓(こくふう)と言う。

「おお怖い! ならこれならどうだい?」

 下半身の炎がひときわ大きく燃え盛り爆ぜたかと思うと、そこにはゆうに二十体を超える佐藤の姿があった。

「「「どうだい、こちらも数を増やしたよ」」」
「「「人数はこっちの方が上だよ」」」
「「「さぁ、八つ裂きにしてあげよう」」」

 半円状に囲んで襲いかかる佐藤の群れに対し、薙刀を持った黒楓を前面に出し、リーチの長さをいかしたなぎ払い攻撃で応戦。かたわらに配置した白桜はもっぱら術者である京子の守護を担当し、黒楓の攻撃をかいくぐり、接近してきた佐藤を斬り伏せている。

(上手いな)

 言われた通り下がって観戦していた秋芳は、京子の使役ぶりに素直に感心する。
 簡易式とちがい、護法式というのは姿を維持させるだけでも、術者はそれなりの呪力を消費するというのに、この倉橋京子という娘はそれを二体同時に出現させ、たくみに操作しているのだ。
 そう、実にたくみだ。
 もっぱら攻めるのを黒楓。守るのを白桜が担当しているが、敵の布陣に隙が生じれば両方とも積極的に攻め、逆に敵の攻撃が激しさを増す時は両方とも守備に徹する攻防一体のコンビネーション。
 切り替えが上手いのだ。
 見事としか言いようのない式神の使役ぶりだが、敵の数はいっこうに減らない。
数体を仕留め、数が減ってきたと思ったら、またいつの間にか増えているのだ。

(これはあれだな「本物を倒さなければ分身がいつまでも増え続ける」てパターンだな。だとすると他とちがい汚れてたり、傷があったり、影のあるやつが本物ってのが定番なんだが……)

 目を凝らし佐藤の群れを観察する。
いた。
 一体だけ群れの後ろで動きまわるだけで前に出ず、数が減っては炎を震わし、増殖をくり返しているが、そいつだけが他とちがい地面に影を落としている。

(お約束だな)

 思わず苦笑を浮かべる。
 しかし京子はそのことに気づいているのか?
 真剣な面立ちで式をあやつるその表情からはうかがい知れない。
 少し言葉を交わしただけだが、プライドの高い娘だということはわかる。へたに手を出して不興を買うのもいやだ。
 美人には好かれたいものである。
 シュボボッ!
 佐藤本体の炎が大きく震えたかと思うと、数個の火球が出現し、
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ