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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
序章
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なり、達人ともなれば木の枝や草葉を足がかりに空高く跳躍したり、水面を走ることすらできるという。

 ぬかるみの中、靴を汚さずに歩く程度の心得が秋芳にはあった。

「二人でなにを話してるんだい?」
「いやぁ、泥に足を取られて歩きにくいって話しをしてたんです。佐藤さんは革靴で歩きにくくないですか?」
「もう慣れっこだよ。ぼくみたいなサラリーマンにとっちゃあね。……おかしいな、たしかこのあたりで見かけたんだけど」

 キョロキョロとあたりを見まわす佐藤。

「ごめんよ、ちょっと道をまちがえたみたいだ。ええと、向こうだったかな? こんどこそちゃんと案内するからついて来てくれ」
 来た方向とは別の道に進む。
 歩き続ける佐藤の後ろ姿を見ながら京子が小声で問いかける。

(……ねぇ、あなた気づいた?)
(ああ、奴さんの靴。きれいなもんだ)

 靴もソックスも泥で汚れている京子とミッドソール部分に汚れが目立つ秋芳に対して、佐藤の革靴には泥がまったくついていなかった。
 それだけではない。
 佐藤の歩いた場所には足跡がまったくついていないのだ。

(彼、浮いてない? 浮いてるわよね)
(そうだな。浮遊してるな)

 よくよく見れば歩き方もおかしい。普通の人間が普通に歩けば、どうしても頭が上下するはずだが、それもない。ただたんに両足を交互前後に動かしているだけのように見える。
 それでいて前に進んでいる。
(人じゃ、ない……?)
「おや? また二人してコソコソ内緒話かい?」
「ええ、あなたの足がまったく汚れていない。宙に浮いてる。て話しをしてたんです。佐藤さん、あなた人ですか妖怪ですか? 俺たちに仇なす存在だったりします?」
「ちょ、ちょっとあなた!?」

 臆面もない秋芳の態度に思わず狼狽する京子。

「な〜んだ、もう気づいちゃったのかい? もうちょっと歩きまわって疲れさせてよろうと思ってたのに」
 
 佐藤と名乗ったモノの姿がみるみる変わっていく。
 口が耳まで裂け、とがった牙が剥き出しになり、ナイフのように長く鋭い鉤爪が両手に伸びそろう。
 腰から下は青白い炎につつまれ、燃えている。

「そんな!? 動的霊災、フェーズ3!」
「見習いとはいえ陰陽師。その血肉、美味しくいただかせてもらうよ。男の方は骨と筋ばっかで不味そうだけど、女のほうは肉づきが良くてほんとうに美味しそうだ」

 顔全体をひと舐めできるほどの長くとがった舌でじゅるりと舌なめずりし、ゆっくりと近づいてくる。

「下がってて! こいつはあたしが鎮めるわ。式神召喚! ?急如(オー)律令(ダー)!」
 
 言うと同時にどこから取り出したか、二枚の札。式符を放つ。
 いったい軽装のスポーツウェアのどこに札をしまっていたのか
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