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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
序章
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〜い、君たち」
「え、ええ?」
「お〜い、ちょ、ちょっと」
遠くから息も絶え絶えに駆けつけて来たのはヨレヨレのスーツを着た、サラリーマンふうの中年男だった。
「ハァハァ、や、やっと人に会えた。さっきから変なんだよ、この公園。外に出ようと思っても出られないんだ。本当だよ!」
惑乱するサラリーマンふうの中年男――名を佐藤といって、昨夜は飲みすぎて公園のベンチを寝床に一晩明かしたらしい――が言うには、公園から出られない。
道を進めば行けども行けども道が続き、林をつっきろうとしても途中で見えない壁のようなものが進路を塞ぎ、外に出られないらしい。
「嘘じゃあないよ! 本当だよ。嘘だと思うなら君たちも一緒に来てくれよ、このおかしな現象をその目で見て確かめてくれ」
「落ち着いてください。あたしたちは別に疑ってなんかいません。佐藤さんでしたっけ、一緒に出口を探しましょう」
「ああ! そうしてくれると助かるよ。こんなおかしな場所で一人きりとか、心細くてね」
「佐藤さん。公園から出られないこと以外でなにかおかしなことはありませんでしたか? 見なれない物。生き物とかを目にしたとか」
「う〜ん、そういえばあっちにヘンテコな看板があったよ。漢字なのかなんなのか、よくわからない文字がビッシリと書かれてたね」
佐藤が自分の来た方向を指差す。
「そっちは……。間違いないわ。まだ途中だったけど、あたしが感じたのも向こうからだったわ」
「よし、じゃあ行ってみるか」
暑く澱んだ空気の中、ぬかるみに足を取られながら、三人で進むことにした。
「へぇ、じゃあ君たちは陰陽塾の塾生さんかい! 良かった。ならこんな霊災? 結界? 異界化? とにかくなんでもいい。こんなの早く解決してくれるよね?」
「ええ、まかせてください。陰陽塾の名誉にかけて、かならずやこの怪異を鎮めてみせます」
背筋を伸ばしてそう宣言する京子の姿は実に優等生然としていた。
元来この手の「いい子ちゃん」タイプは好きになれない秋芳であったが、不思議と嫌悪感は湧いてこない。
「もうすぐだ。この広場を抜けたところで見たんだ」
三つの噴水が涼を演出し、夜になればライトアップされる中央広場。
ふだんならば都会の喧騒を忘れさせてくれる、のんびりとした園内だが、今は不気味な静寂と異様な熱気に支配されている。
「……ふぅ」
「だいじょうぶか? さっきの術でかなり消耗してるんじゃないか?」
「平気よ、あのくらい。でもここ歩きにくいったらないわ。もう足が泥だらけよ。て、あなたはあんまり汚れてないわね」
「汚れないように歩いてるからね」
中国武術に軽功という言葉がある。
軽身功とも呼ばれるこの技術を身につければ身体を軽くし、素早く動けるように
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