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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
序章
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くもに動きまわるのはよしましょう。あたし風水についてもそれなりに勉強してるつもりだから、なんとか結界の格か、ほころびを見つけ出してみるわ」

 周囲の気の流れから空間や時間の法則を読み取り、干渉する。
 それが風水だ。
 結界を構成する核となる物を排除することができれば、結界自体が消滅するし、外界との『穴を』見つけることができれば、そこから外に出られる。

「羅盤や魯班尺もなしにできるのか?」
「ダメもとでやってみるわ。あたし気を『詠む』の得意だから」
「そうか。じゃあ頼む」
「ええ、頼まれてあげるわ」

 天下の陰陽塾塾生。その実力はどの程度のものか、お手並み拝見といこう。
 そう決めて京子の所作に注目する。
 雨に濡れていない地面に拾った小枝で円を描き、その中央に立ち、静かに瞑想を始める。

(ほう、地面に描いた円陣を羅盤。自らをその針に見立てて即席の風水羅盤を作るなんて、やるじゃないか。風水だけでなく厭魅の才もあると見た)

 厭魅や厭勝と呼ばれる呪術がある。
 類似したものはお互いに影響しあい、一つのものに起こったものは、似たもう一つにも起こる。
 同じものから分離したものは、性質を共用する。
 そのような法則を持った呪術だ。
 ただ真似をすればいいというものではない。
 なにかとなにかを見立てる発想力。
 それによりなにができるかを正確にイメージする想像力。
 そしてそれを実行する呪力。
 それらが合わさって始めて効果を発揮するのだ。

(まだ若いのに大したものだ。胸もでかいしな。うん、たいした巨乳だ。実にけしからん)

 キッ! 

 よこしまな想いを抱いた瞬間、京子が鋭い視線で秋芳を睨みつける。

「たった今、あなたから邪気を感じたんですけど」
「いやぁ、気のせいだろう。続けて続けて」
「まったく、本当かしら……」

 ブツブツ言いつつ、瞳を閉じ、ふたたび集中を始める京子。涼しい顔でそれを見つめる秋芳。

(どうも入塾云々のところから妙に態度がキツくなったな。それにしても感の良い娘だ。こっちのスケベ心をすぐに見抜きやがった。陰陽塾の生徒はみんな切れ者なのか、彼女が特別優秀なのか。……ん? まてよ、倉橋京子。倉橋……)

 陰陽道の名家にして現在最も権勢を誇っているのが倉橋家だ。陰陽塾塾長の倉橋美代も、陰陽庁長官兼祓魔局局長であり、当代最高とされる陰陽師、倉橋源司もまた名門倉橋家の人間である。
 ひょっとしたらこの娘はそんな倉橋家のご令嬢では?
 そんなことを考えつつ、あらためて探りの術に集中する京子の姿を観察する。

「ん、もうちょっと……、見えてきたわ。あと少しでハッキリわかりそう……」

 と、その時。どこからともなく声が聞こえてきた。

「お
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