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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
序章
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んざく大音声がほとばしる。
 呪力のこもった鬼の鳴き声。抵抗力のない並の人間なら、聞いた瞬間に精神を侵され、卒倒。運が悪ければ命を失いかねない音波攻撃。
 全身に気を廻らし、不快な邪気を跳ね除け、意識を集中する。

「うるせぇっ! 禁口則不能話、疾く!」

 口を禁ずればすなわち話すことあたわず。
 術が発動するや、あたりを震撼させていた鬼哭はピタリと鳴き止む。
 声を発することを禁じられた鬼の口からは、ただただ息が漏れるのみ。
 次で決める。

「我咆哮金城穿孔、鉄壁崩壊。吼っ!」

 我が咆哮は金城を穿ち、鉄壁を崩す。
 虎吼掌波。
 虎の口を模して重ねられた掌から気がほとばしり衝撃と化す、それを受けた鬼の体はバラバラに吹き飛んだ。

「いやー、終わったねぇ。一瞬ヒヤッとしたよぉ」

 残心を怠らず周囲に注意をはらう秋芳に駆け寄る笑狸。
 短めに切りそろえた明るい色の茶髪にデニムの短パンから延びる白い脚。一見、少年のようだがよく見ると快活な少女――。否、やはり少年。に見えてやはり少女のような……。
 そんな、むじなのごとく外見のさだかでないこの少女(?)その正体はオスの化け狸である。
 秋芳が幼い頃に折伏してから、おのれの式神にして行動をともにしているのだ。

「あんな大ぶりの攻撃あたらないし、脳筋野郎の妖術なんて効くかよ。それより自分の身の心配をし
ろ。おまえは平気か? 邪気にあてられなかったか?」

 笑狸の身を案じる秋芳のほうはというと、僧侶のように頭を剃りあげた短身痩躯の青年だ。

「ボクは平気だよ。ちょっとうるさかったけどね」
「そうか。だが油断するなよ、あたりにまだ妖気が残っている」
「妖気? クンクン……。ほんとだー、わる〜い感じの臭いがプンプンするよ」
「動的霊災は今ので終いのはずなんだがな……」

 周囲には秋芳が退治した動的霊災――霊災によって実体化した瘴気――らの骸が散乱している。
霊災。
 霊的災害。戦中に現代の陰陽術の礎を築いた稀代の大天才にして伝説の陰陽師、土御門夜光が執り行った大儀式の失敗により、東京を中心に頻発するようになった異常現象のこと。
 自然界に満ちる『霊気』のバランスが崩れて『瘴気』へ転じ、これが自然界が持つ自浄作用の限界を超えることで発生する。
 規模と驚異度に応じた段階が定められており。
 フェーズ1は自然レベルでの回復を見込めない霊気の偏向。
 フェーズ2は霊気の偏向が強まり周囲へ物理的被害を与える状態。
 フェーズ3は鵺や野槌、牛鬼といった実体化した移動型・動的霊災の発生。
 フェーズ4は一つの巨大な霊災を中心として、無数の霊災が連続的に発生する状態、いわゆる百鬼夜行。
「……一説ではさらにその先の、世界に受け入れられ霊
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