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ダン梨・I
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を遠足前の子供のようにウキウキと待った。



 = ベル・クラネルの独白 =


 バミューダ主導のもと、ゲドさんの協力(という名の脅迫)を得て暴かれたファミリアの実態は、僕の想像を絶する程に汚いものだった。とてもではないが、リリのような女の子がいていい環境でもないし、それを縛るザニスという男を許せなかった。

 でも、バミューダはその実態を知りながら、まだ情報が必要だと僕を押しとどめた。

「誰が悪いのかもう分かってるんでしょ!?だったら!!」
「駄目だ。ヘスティア・ファミリアの眷属として絶対的に『身の潔白』と『正当性』を確保し、なおかつぶっつけ本番リハなし一発で成功させる必要がある。ザニス以外の人間がみんな幸せに終わるには、焦ったら駄目だ」

 つまりはこうだ。無茶して禍根が残れば、それは主神であるヘスティア様に迷惑として振り掛かる。だからヘスティアが何ら恥ずべきことはしていないと本人も周囲も納得させられる材料――よりよいお膳立てが必要だということだ。

「その為に……ゲド」
「ひぃッ!?な、なんだよぉ……俺は嘘は言ってねぇぞ!?」
「嘘は言ってなくとも気付いてないことぐらいあるだろ?だがお前が腹芸の得意な男には見えないから間諜としちゃ不安なんだよな……だから、俺が出る」

 ゲドの舎弟にされた、弱みのせいで強く出られない子供。それがバミューダの自身に課した設定だった。これによってソーマ・ファミリアの人間に近づき、より正確な情報を得る。悪だくみの得意なバミューダらしいと最初は思ったが、その日のうちに考えは覆った。

 ソーマ・ファミリアと共にゲドの舎弟として行動するという事がどれほど過酷な事か、僕は甘く見ていた。バミューダが「そう」ならばリリもまた「そう」なのか、帰ってきたバミューダの体にはあちこちに生傷や青痣が出来ていたのだ。凝り性のバミューダは「立場の弱い人間」を演じ過ぎたのだとすぐに理解した。当人は「耐久上がって一石二鳥だな」などと笑っていたが、僕はそれを必要経費と割り切る事は出来ない。
 だって友達で、家族だから。痛みも悲しみも分かち合える人だから。

「僕が、替わる。バミューダと替わって探りを入れる!」
「はい駄目ー。駄目ですぅー。実際問題お前も腹芸出来ないし、既に行動も外見も目立つお前の知名度は上がりすぎてる。白髪も目立つし警戒されるだろ?あと任務中に我慢できずソーマ・ファミリアに突撃ヒャッハーしそう」
「ぐうの音しか出ない……」

 駄目だった。確かに僕に腹芸は出来ないし、堪えきれるか断言できない。だからせめて、僕はバミューダの傷の手当てをすることにした。神様にバレた時の事を考慮してバミューダアイデアでポーションを希釈してちまちま使ったが、生傷に綿に染み込ませた質の悪いポーションを
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