第30話 隠密偵察
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と長門が一切怖がらずに反撃してきたという事実を理解して、残った5人の男たちはテーブルから全員が立ち上がると脅しをかけてきた。呆れたような長門のつぶやきに、男達はまた怒りのボルテージを高めたが長門は気にしない。
「我慢ならねぇな。ちょうどいい。てめぇらも捕まえて、オークションの競売に掛けてやらァ」
その言葉を聞いた金剛と長門の二人は、顔を見合わせていた。彼の発した言葉から、奴隷商人かもしくは人攫いなのだろうと推察する。ならば、ちょうどいい情報源が見つかったのではと内心では大喜びだったのだ。
「おらっ、テメエら手加減一切なしだ」
男たちのリーダーと思われる一人が指示を出して、金剛と長門の座っているテーブルの周りを囲った。どこに隠し持っていたのか、メリケンサックを手に嵌めたスキンヘッドの男に、棍棒を装備して振り回し店の壁にテーブルにと破壊していく筋肉隆々の男。店の中に居た他の客達の悲鳴が響いた。
「え!? ぐひゅ」
そんな状況になっても慌てることなくゆっくりとテーブルから立ち上がった金剛は、ふわっとした軽い足取りで一番近くに立っていたスキンヘッドの男に接近すると、一発で男を伸した。身長差のあった金剛とスキンヘッドの男、アッパー気味に入った金剛の拳によって後ろへ仰け反るように倒れていた。
「なにっ!?」
長門は棍棒を振り回している筋肉男に近づいて行った。商品にすると決め、顔には傷つけないように配慮しての胴体を狙った男の一撃は、あっさりと長門の右手一本で止められていた。
「おい、なんてバカ力っ! 動きやしねえ!? うぐふっ」
捕まった棍棒を長門の手から引き抜こうと、力を込めるがびくとも動かない。そのうちに、長門が空いた左手で男の顔面に一発。そのまま威勢の良かった男は気絶して静かになった。
「いぐっ!?」「うぁっ」「ぎゃっ!」
まさか、美女二人が反撃して事態を沈静化させるなんて思っていなかった店員と客達は、反撃する金剛と長門の様子を目を丸くしながら見て、状況が終わっても何も言葉を発せずに店内は静寂となっていた。
「とりあえず、こっちの男とその男を連れて行こう」
「わかったヨ! 私はコッチを担ぐネ」
まるで米俵を運ぶような動きで気絶した男を一人ずつ肩に載せると、金剛と長門は自分たちの分の食事代だけ支払いを済ませて、唖然としている店に居た人達の視線を背中で感じながら、何か言われる前に早々に店を後にするのだった。
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