第六章 Perfect Breaker
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そこに、男はいた。
振り返ると、ドレスを着た女性が、まるで我が子を見るかのような表情で微笑んで待っていた。
―――座りましょう?
そういうと、どこからともなくテーブルとイスが現れた。
ガーデンでのティータイム、とでもいうようなその一式に腰を掛け、男は本当に久方ぶりに声を出した。
―――ここは?
―――ここは世界の外。私は管理者
―――管理者?
―――あなたは、とても大きなことを成し遂げましたね
―――そんな・・・気がする・・・
―――見てください
女性が手を軽く振るうと、黒い空間の中にいくつもの天体が生まれた。
男は、それが様々な世界であることを、なんとなく感じ取る。
―――これらの数多の世界。今は少ないですが、これから多くが生まれるでしょう
その祝福を祝うかのように、女性がパチ、と手を叩く。
すると、シャボン玉のようにフワリと、また別の世界が誕生した。
―――祝福を
彼女がやっている、というわけではなく、どうやらタイミングを合わせてやっているだけのようだ。
しかし、同時に悲しそうな顔をして別の天体に目を向ける。
男も視線を向けると、その天体が黒く染まり、ついには背景に溶けて消滅していってしまった
―――あ・・・・
―――いま、世界が一つ消滅してしまいました。
―――そんな
―――今の世界は、殆どが成りかけです。そのすべてが誕生の可能性を持ち、そのすべてが何かの拍子に崩壊してしまう可能性を持っています。
―――どうにか
―――したいですか?
――――――「ああ」
―――まだ、戦うというのですか?
――――「もし、俺にそれができるなら」
―――戦いたいのですか?
――「戦いたくはない。ただ俺は」
―――そうですよね
「俺は、そこにいる人を、助けたい。消えていく世界を、見ていたくない」
―――では、あなたはいくというのですね?
コクリと、男は頷いた。
自然と、背中に翼が生えてきた。
銀の輝き。
煌めく白。
コトリとティーカップを置いてから、男は椅子を引いて立ち上がる。
そして一礼をしてから、世界の浮かぶその空間へと足を踏み入れた。
その背中を、女性は嬉しそうに、しかし悲しそうにも見える表情で見送った。
自分たち管理者は、やはり自分では何もできないのかと。
「どうしたんですか?」
「あら、どうしたのそんなところで」
その女性のスカートのすそを、一人の少女が掴んでいた。
その間もなく幼女から抜け出そうとするほどの年齢の少女
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