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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
Another/前回の物語
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何だというのだ?


「たとえここがどれだけ過去だろうと、俺は死なない。寿命で死ぬとでも、本気で思っているのか?」

セルトマンは死なない。
少なくとも、セルトマンが生きるあの時間までは確実に。

蒔風の思惑は外れたのだ。


しかし


「はっはっは!だがあれだけのことをしてお前の力は落ちている!!今のお前なら・・・な・・・ら・・・・」

しかし、セルトマンの歯切れは悪くなっていく。
言葉を荒げるたびに、段々と呼吸を深くしていき、ついには嘔吐くかのような呼吸をするほどになってしまう。


「どうした?・・・・顔色悪いぞ?」

蒔風が静かに告げる。
それはセルトマンの精神的なものを表した顔色ではない。


本当に、セルトマンは、体調を崩していた。


「な・・・にを・・・・?」

苦しさに涙まで滲み、かすれていく視界。
だがその視界に異常が映ったのは蒔風だけではなかった。


「翼・・・が・・・・・?」


開翼していた蒔風の翼が、ハラハラと散って消滅していく。
羽となって散り、そしてそれもまた粒子となって消える。

その様子を、蒔風は振り返るでもなく、流れる粒子の先を見るわけでもなく


ただ拳を固めて、悲しそうにうつむいているだけだ。




「お前・・・何をした・・・・!?」

「ここは過去の世界―――――ずっとずっと過去の世界だ」


蒔風にとって、時間流位は初めてだ。
どれだけ力を籠めれば、どれだけ戻れるかわからない。

だから全力を使った。失敗だけはできなかった。
とはいえ、発動の瞬間にすべての力を引っ張り出されてしまったのだから、調整も何もなかったわけだが。



「ず・・・っと・・・・だと・・・」

呼吸が苦しい。
だが、セルトマンは聞かねばならない。


「どれだけ過去かはわからない。ただ確実なのは、この世界はただの“no Name”ってことだ」

「の・・・・まさ・・・か・・・・」


簡単な話。
最大世界から過去にさかのぼったとして、それを蒔風が行えば当然「the days」のものへと帰るだろう。

では、その世界に魔術はあったか?
答えはNoだ。


世界修正の前には、セルトマンの完全も役には立たない。

力を使い果たし、心身共に、そして力も足した使い果たした蒔風の「翼人」ですら消されてしまったのだから。



(まずい・・・では、これは・・・・)

蒔風は知らない。
セルトマンの肋骨を。


ただ、魔術も何もないこの世界で、泥を胸部に埋め込んで、体調を崩さないわけがない。



「今の俺はただの人間。今のお前もただの人間。だが今のお前は、どう
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