第六章 Perfect Breaker
Perfect Breaker/未来
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「テメェの・・・テメェのその眼は何なんだよ、蒔風!!!」
蹴られて転がる蒔風の動きは、段々と小さなものになっていた。
蹴り飛ばされていたのが、ただ蹴られるだけに。
身体を丸め、蹴りに耐え
しかし、その眼はまっすぐにセルトマンを見つめていた。
「アーヴ・セルトマン」
「ッ!!」
蒔風の、つぶやくような小さな声に、セルトマンがおびえたように反応する。
蹴ろうとした足を引っ込め、二、三歩退いて様子を見る。
「人間の完全。最新最古。お前は、人間という存在の頂点にあると言っても、いいのかもしれない」
ゆっくりと立ち上がる。
その顔は、もはや敵に向けるようなものではなく、ただそうであることを語っているだけのそれだった。
「だが、お前は――――今の人類は超えられても、もはやこの先頂点になることはできない」
「〜〜〜〜〜!!!」
セルトマンが、声にならない悲鳴を上げた。
わかっている。
わかっているのだ。
自分はここで完全に、完膚なきまで、総てを越えなければならない。
そうでなければ、自分はここで停滞する。
ここで完成してしまうということはつまり、ここから上へは進めないということ。
だからこそ、セルトマンは
「俺は―――――完全に頂点に立たなければならないんだ!!!」
「残念ながらそれは無理だ」
一度の敗北は、たった一度の敗北でも、それは「敗北する」という事実に他ならない。
セルトマンは無限の可能性の発露だ。
完全であるがゆえに、そこにはあらゆる可能性、無限の未来が開けている。
そして、そこに敗北という事実が、それがただ一度という獄賞の可能性にあるわずかなものだとしても、彼にとってそれは無限の敗北に等しい。
九分九厘勝利し、敗北の可能性は那由他の彼方
だが、そのほんの僅かな可能性すら、彼の「完全」は無限の広がりを与えてしまう。
それがこの男の運命だ。
一度でも敗北する以上、一度でも止められてしまった以上
それは「絶対的完全性」を崩しうる「わずか数パーセントの可能性」でも
ありうる以上は彼にとって「勝利か敗北か」の二択になってしまうのだから。
「ァぁアぁああああああああああああああ!!!」
「―――――ォォォオオオオ!!」
「蒔風ェッ!!!」
セルトマンの手が、大地に添えられる。
魔力が大地を侵食し、一直線に蒔風へのラインを作り出した。
一直線に伸びる大地咆哮。
セルトマンの足元から地面が爆ぜ、それが蒔風へと疾走していくところで
「ハァッッ!!」
蒔風の十五天帝が、噴き出してくる魔力を
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