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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
Perfect Breaker/未来
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「ゴジラが・・・溶けていく」

全身の超高温がついに臨界点を迎え、ゴジラの皮膚が、背鰭が、肉が解け始める。
周囲に放射能がまきちらされていくが、令呪の発現のためにそれはただの魔力粒子となって空間へと散っていくだけだ。

そしてついに骨になり、それすらも溶解して、崩れ

ついには、一切の痕跡、影響を残すことなく、ゴジラは粒子となって空へと昇り、消失してしまった。



その光景を背に、二人の男が向き合っていた。

一人は蒔風。
もう一人は、セルトマン。


全身が焦げ付いてるが、炭化している部分がだんだんと剥がれて落ちていく。
その下に見える肌からして、再生していっているのがよく分かった。


「もう終わりだ。セルトマン」

「・・・・・まだ負けてねぇ」

「ああそうだ。負けてない。だがお前が何をしようとも、もはやお前の勝利は来ない」

「・・・・・」

敗北はないだろう。セルトマンならば、幾度となくあれを召喚できるはずだ。
大聖杯を作り出せる土地、龍脈は、世界中にある。

だが、勝利もない。
それを召喚したが最後、蒔風によって召喚されるゴジラと相打ちになる。


「お前の野望も終わりだ」

「終わりじゃねぇよ・・・・」

ギチリと、セルトマンの拳が握りしめられる。
そこに魔力が溜まり、さらに脚の筋肉が隆起していく。


「ここでお前を倒せばそれでいい。お前を倒せば、今後の邪魔者はいなくなる!!!」

ゴゥッッ!!

突き出される左手。放たれる砲撃。
それを回避し、蒔風が一気にセルトマンへと駆けていく。

左側から走ってくる蒔風に右手を向け、第二射を放つセルトマン。

それを真正面から食らい、後退させられる蒔風。
そこに向かって、今度はセルトマンの跳び膝蹴りが叩き込まれていく。


両手でそれを受け止める蒔風だが、さらに大きく弾かれて地面を転がる。
起き上がろうとするも、そこに更なる膝蹴り。

地面を転がっていく蒔風に蹴りを入れて、セルトマンが大きく口をあけて笑い始めた。


「は、クソッ、このっ・・・・俺は、俺は最新最古の人類だぞ。お前たちより高次の存在になった者だぞ!!それが何で――――なんで人間範疇のお前らに負けるんだ!!!」

顔は笑いながらも、その言葉には苛立ちしかなかった。
セルトマンの何かが瓦解している。それを、よく表している声だった。


アーカイヴへの信頼。
怪獣王の絶対性。
自分の能力への自信。

それらが覆されてきた。
もはやセルトマンの精神は、ギリギリのところで踏みとどまっているのだろう。


こうして蒔風を転がすことで、最後の砦を守っているのだろう。


だが


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