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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
Adam/正体
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潰した顔で問う。



「何故だ・・・・なぜわかった!!!」

そう。
それは正しい答えだったのだ。

だが、なぜわかったというのか。
教えられでもしない限り、この謎に思い至るなんてことは絶対にありえない。

思いついたくらいで至れるほど、そんなヒントは与えていないはずだ―――――!!


「これだよ」

その答えに、蒔風は先ほど拾った書類の一枚を投げつける。
風に乗ってセルトマンのもとに届いたそれが、足元に落ちる。


「な・・・に・・・・!?」

「確か、アーカイヴのラストだと俺はお前と一緒に消えたんだったよな」

「そんな・・・ことが・・・・」

「ああ、今ならわかる。俺がいったい何をしたのかがな」


そこの書類は、一つの報告書。
ただし、興味本位で少し調べた程度のもの。つまりは「EARTH」の公式書類ではない。

そこには、答えのヒントがあった。

書かれている、内容は



「数か月前、日本で見つかった最古の壁画。そこにあった「EARTH」マーク」

蒔風の言葉と書類の文字が、ぐるぐるとセルトマンの頭の中を回っていく。
そのセルトマンに、問答無用で言葉を投げつける。


「壁画に描かれているのは、片方がもう片方の人間の胸元から何かを抉りだしている図だ」

抉り出したほうの人間が掲げているのは、一本の棒。
だが、今ならばこれが肋骨を表しているのだと容易に推測できる。


「そう。お前の謎を解くカギは、とっくの昔に俺の手元にあった」

蒔風が切り裂いたのは、セルトマンの右胸。
正確には、肋骨部分である。

そこにあったのは、なぜか泥だった。


「肋骨、泥。何かあればなと思って斬ってみたが、まさかこんな結果が出てくるとはな」

その二つのキーワード。
さらに、セルトマンの言葉。

「「人間である限り俺を殺せない」だったか?そりゃそうだ。お前は最古の人間とリンクしているんだからな」


神は―――――

五日を掛けて世界を創られ

そして、七日目に休む前に

最後に

「六日目のうちに作られた人間。天地創造において、最初の人類とされているアダム。お前はそいつとリンクしているな?」


セルトマンは答えない。
口を閉ざすばかりである。





アーヴ家の家系図は、遡れる限り数万年前までわかっている。
ただし人類史学者の間では、それが伝説のたぐいであることは証明済みだった。

当然だ。
この星は神の手ではなく、ビッグバンや宇宙の瓦礫を元に出来上がり、生命は神の意志でではなく、太陽との位置関係によって誕生しているのだから。

つまり、天地創造はあくまでも創作上の伝説なのだ。

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