第六話
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がら彼曰く『面白い手品』をやる為にリィンから50ミラコインを借りていた。
「そんじゃあ――よーく見とけよ。」
そう言うと青年はコインを上に弾き落ちてきた所を両手で掴む動作で交差させた後、その両手を二人の前に差し出した。
「――さて問題。右手と左手、どっちにコインがある?」
どうやら手品というよりはよくある簡単な博打のような物だった。リィンは少し悩んだ後右手を選択した。そしてカイムは……
「ほら、黒髪後輩は右手だそうだ。そっちの白髪後輩はどっちなんだ?」
「髪の色で呼ぶのやめて貰えませんかね、というかどっちにもないでしょ。」
「え?」
「へえ……。」
カイムの言葉にリィンと青年は驚きの表情を浮かべた。何せカイムはどちらか選べと言われどちらでもないと言ったのだから。
「じゃあコインは一体どこにあるか……答えてみな?」
「その下のバッグの中でしょう?よくあるミスディレクションの一つだ。落ちて来た物を掴む動作で腕に視線を向けさせてコインから視線を外すっていうね。」
「……ククク、参ったぜ正解だ。流石、オリエンテーリングで俺達に気付いただけはある。そっちの黒髪後輩も精進しろよ。」
カイムの言葉に青年は素直に負けを認めそのまま学園の入り口に向かおうとし、思い出したかのように二人に向き直った。
「――そうそう。生徒会室なら二階の奥だぜ。そんじゃ、よい週末を。」
そう言うと今度こそ青年は去っていった。残された二人はその背中を見送った後、さっきの事について話し始めた。
「さっきの良く分かったな。それにオリエンテーリングの事って……。」
「ああいうペテンやる奴には腐るほど会って来たからな、あれ以上も割とあるし今更惑わされんさ。オリエンテーリングに関してはどうやらZ組に少し関わってるんだろうさ、近くの崖の上で何人かとこっちを見てたよ。……ところで50ミラ持ってかれたぞ。」
「え、あ……。」
「日々これ精進。今度は気を抜くなよ?」
「肝に銘じておくよ、しかし2年生もクセモノ揃いのようだ。まさか会長も……?」
「そう考えると気が重くなるがしゃあない、行こう。」
そう話しながら二人は生徒会館に入り、二回へ上って一番奥の生徒会室の前に立っていた。
「ここみたいだな。」
「だな。では……。」
部屋を確認しカイムがドアをノックすると中から女子の声が聞こえてきた。
「はいはーい。鍵は掛かってないからそのままどーぞ。」
聞こえてきた女子の声に二人は聞き覚えがあった。言われた通り中に入るとそこには入学式の日に自分達を校門で迎えてくれた小柄な少女がいた。少女はこちらを向くと笑顔
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