今の君、過去の私
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教室に入って扉を閉め、お互いに椅子に座る。
要らない机や椅子の物置と化した教室は、そこかしこにホコリが溜まっていたが、気にもとめずに話を始めた。
「貴方が養子だから、皆に悪口を言われるの?」
ミリアムは静かに問いかけた。
「…うん」
グレゴリーは目を伏せ、それだけを口にした。
そこから、虐めている生徒の事や言われた事、された事を聞き、沢山話した。
その中で、ミリアムは心の中で感じていた。
『今の彼は…昔の私と同じだわ』
ミリアム自身もまた養子であり、からかわれ虐められて来た。
その時の記憶が今のグレゴリーと被った時…
ミリアムは無意識に涙を流していた。
それを見たグレゴリーは驚き、かなり慌てていた。
自分が泣いていることに気がついたミリアムは慌てて涙を拭い、グレゴリーの目を見つめた。
そして、震える声で話した。
「…私も、君と同じだった」
「養子だったから、近所でも学校でも…沢山からかわれたし、虐められたわ」
「だけど…両親が支えてくれたわ…どんな時でも、どんな事があったとしても」
「だから、私は感じたのよ…例え、養子に迎えてくれた親でも…本当の親子になれるって知ったの」
「私は…決して孤独なんかじゃない、ってわかったのよ」
「だから、だから君も…決して一人なんかじゃないわ…もちろん、私も居る…」
そこまで話すと、ミリアムはまた涙を拭った。
グレゴリーは口を塞ぐように手を当てて、声を押し殺しながら…ボロボロと泣きじゃくっていた。
その後は学校を終えて帰宅し、普段通りに食事を終えて入浴し、デザートのアイスを片手にベッドに転がり、アイスをスプーンで食べながら携帯をいじった。
しばらくして、机に座って明日の抜き打ちテストの問題を再確認し、カバンのゴミやらを整理してから眠りについた。
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