ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
1章 すべての始まり
2話 演説
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ですか?」
静かな少女からの問いかけ。広間は水を打ったように静まり返っていた。ここにいる全員が少女の言葉に耳を傾けている。
「もちろん、ゲームオーバー=死を意味するこのゲームで、戦うことは恐ろしいと思います。ですから、全員に全員、攻略をせよ、とは言いません。安全圏の街にとどまるというのも一つの選択肢です。でももし、この中で命を懸けてでもこのゲームを攻略したい、という方は、明日の午前9時にまたここに集まってください。私が全力で来ていただいた人にこの世界での戦い方をレクチャーします」
ざわざわと、人々が騒ぐ。その中で、一人の男性プレイヤーがが少女に問いかけた。
「一つ教えてくれ。君の言動を聞く限り、君はβテスターなのか?」
少女は、躊躇なくうなずいた。
「ええ、私はβテスターです。ですから、10層ほどまでのこの世界のことはよく知っていますし、ここでの生き残り方もよくわかっています。私の言葉を信じてくださるかつこの世界の攻略をしようとする人は、また明日会いましょう。
それともうすぐに日が暮れます。夜になると夜型モンスターへと変換され、レベルも、難易度もより高くなり、夜の狩りはありようを変えたこの世界ではあまりにも危険すぎます。くれぐれも夜は圏外から出ないようにしてください」
彼女はそういうとひらりと軽い身のこなしで演説台から飛び降り、フード付きのローブを翻して路地の裏へと姿を消してしまった。
人々はしばらく沈黙していたが、再びしゃべり始め、少女の助言通りに圏外は出ずに皆、宿屋へと移動していく波が生まれていった。しかし、キバオウの足は動かぬままだった。少女の言葉がキバオウの頭の中でぐるぐると回る。この世界で戦うということは、自分の命を危険にさらすということだ。正直、実感はない。いきなりこんなことを言われても、実感などわくわけがない。しかし、誰かがやらねば、この世界に終わりは来ない。
まだ答えを出すには十分な時間がある。今晩はじっくりこれからの身の振り方を考えよう。そう思い、キバオウも人々の波へ身を預けるように入っていった。
リアは跡をつけているものがいたとしても巻けるように複雑に道を駆ける。やがて路地の壁は視界から消え去り、壮大なフィールドが見えてくる。一応圏外だが、モンスターがポップしない場所。そこにある一本の木によしかかって目をつぶっている青年がいた。肩上で切りそろえられた黒髪が頬にかかっているその姿は息をのむほど美しい。
リアが近づいてくると、青年は目を開け、ふっと微笑んだ。
「お疲れ、リア。よかったよ」
「ありがと、ツカサ君。それにしても、あんな大人数の前でしゃべるなんて初めてだったけど、声震えてなかった?」
「大丈夫だったよ
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