ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
1章 すべての始まり
2話 演説
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とだと思っています」
少女の言葉を聞いた瞬間、彼…いや、キバオウの中で怒りが吹きあがった。認めてしまっては現実になってしまう。まるで子供の持論だが、今この場では正常な反応だった。
「嘘に決まっとんだろうが!たかがゲームで死ぬなんてありえへん!絶対にありえへん!あの茅場ってやつがわいらをからかっとるだけや!」
キバオウは無意識的に、そう叫んでいた。彼の声に触発され、あちこちから彼に賛成の声が上がる。
「それは絶対にないです」
しかし、それらあっさりと少女によって切り捨てられた。何の躊躇もなく。消して大きくない声だったが、その鋭い言葉はあたりを再び静寂に戻すのに、十分な力を持っていた。静かになるのを待ってから、少女は、一切の迷いもなく、言葉を続ける。
「あの人のことはよく雑誌で読みました。メディアでの露出を嫌う彼の数少ないインタビューや話だけですが、あの人が命のやり取りについてからかうなんてことは絶対にありません。それに、彼の性格からして、この世界を観賞するためだけに作られたといっても何の不思議もないような人です。これは私が保証します。」
「な…!ならなんであいつはこんなこんを!?こんなこんしてあいつに利益なんてこれっぽっちもないやろ!」
そうだそうだ!という声が再び上がる。しかし、少女が動揺する気配はまったくない。
「先ほどのチュートリアルを聞いたでしょう。あの人は、この世界を創っただけ、それだけで満足なんですよ。そこに理由なんてないし、私たちが理解できるようなものでもないでしょうね。…私たちは、彼が実現したい世界のためだけに、この場に連れてこられたんです」
再び切り捨てられ、ぐうの音も出なくなったキバオウは、その場にへたり込んでしまった。とてつもなく大きな波にのまれてしまったような気がした。今自分が立っているのは夢でも何でもない。仮想世界だが、現実世界。そのことが、真に迫ってきたのだった。
キバオウの周りも同じようにへたり込んでしまっている人が多くいた。皆、自分が置かれているこの現状を理解せねばならない。信じられないが、信じなければいけない。
そんな彼らを上から見下ろしている少女の瞳には、同情や憐みの感情は一切ない。ただあるのは強い光のみ。この場面としては異質なものだったが、現状が現状のため、だれ一人気づかない。少女は彼らを前に次の言葉を紡ぐ。
「しかし、彼は絶対に私たちを現実世界に返さないと言っているわけではありません。この城の頂を極め、ラスボスを倒せば、返すといいました。私たちがすべきことは、自分の置かれている現実を否定し、泣き叫ぶことではないです。自らを強化し、彼からたたきつけられた挑戦状を果たすことではないの
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