ダン梨・Y
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とする悪党」でしかなく、助ける義理も何もあったものではないのだろう。だけれども俺は思う。性善説でも性悪説でもない。人を悪に落とすのは環境である。悪の排除と無視は一番楽な対処でしかなく、それは悪に対して向き合っていないのと同じ事だ。
あー、またこの店の人にヘイト稼ぎそうだけどやっちゃうか。
「ふーん。自分の立場の為に知ってしまった悪事にシカト決め込みますか。ま、人間の正義なんてそんなもんか。大丈夫、俺も本気でアテにしちゃいませんので」
「……ッ!!」
リューさんから容赦のない殺気が放出された。まぁ意図してではあるが彼女の地雷とも言える部分を幾つか踏み抜いたのだ。怒るだろう。怒るだろうが、それに俺が慄いてやる道理などない。持ち前の器用さでガンスルーさせてもらう。
「ベル、行こう。これ以上『他人』に情報を漏らすのは良くない。ほれリリちゃんとゲドもそれでいいだろ?ブルってないでとっとと立ちなよ」
「ちょ、バミューダ………!今の言い方は!」
「リューさんはうちのファミリアじゃないしー、そもそもファミリアに入ってて戦えるか俺もよく知らないしー。仮にファミリアだったとしても主神同士で同盟の類の話がついてる訳でもないっしょ?」
「バミューダッ!!僕が言いたいのはそういう事じゃなくて――」
「勘違いすんなよベル」
今にも俺の胸倉をつかもうとしたベルに、俺は敢えて突き放すように言った。
「豊穣の女主人もギルドの人間も、隣人であって仲間じゃないんだ。俺たちが野垂れ死んだら『アラ悲しいわ』と涙をホロリするだろうが、そのうち悲しみを乗り越えてまた新しいお客さんに愛想振りまくのが自然な営みな訳。お前、その営みを崩すような事わざわざリューさんに聞かせて巻き込む気か?」
「………ッ!!でも、それは本当にバミューダが危ない計画を実行する時でしょ!!」
「俺は出来るだけ安全な計画を考えてるよ?ただ完璧じゃないだけだわな。でもよ、ベル。お前が本気で冒険者として大成したいんならこの手の話は将来的に必ずやってくるぞ」
「論点が違う!!僕は、君がリューさんを傷つけるような言い方したのが嫌なんだよ!!」
「そうだな、論点を戻すか。なぁベル。お前今の話聞いて、リリちゃん助けたいと思ったか?他人事のままいられんの?」
「――………」
そう、つまるところ最大の問題はそこだ。ベルが俺の計画にのるかそるかも、集約点はそれなのだ。俺がこんな計画立ててあくどいこと考えてるのも全部「ベルがリリを放っておけない」という前提に基づいて話している。
もしベルがここでノーと言ったり口ごもるようなら、俺とてこの計画は捨てる。やる気のない人間を計画に参加させても何も楽しくない。だからこそ――。
「助けたいよ。他人事のままいたくない」
――こういう面
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