0216話『第三次輸送船団の悪夢』
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理して笑っちゃダメよ? もう涙目じゃない……?」
「あ、れ……? なんで……」
あたいはいつの間にか涙を流していたみたいだ。
うわ……恥ずかしいじゃんか。でも、一度出てしまった涙を止める術をあたいは知らずにただただ涙が次から次へと溢れてきやがる。
「くそっ……止まれよ!」
「我慢しちゃダメよ? 過去の事は忘れられないけど吐き出す事くらいはできるんだから……」
「でもっ! これじゃ天下の礼号組のあたいじゃいられないじゃんよ!」
「いいのよ……朝霜が泣き止むまで付き合ってあげるから。それに……隠れているようだけど島風ちゃんに長波ちゃんもそこにいるでしょう? 出てきなさい」
「嘘だろ……?」
足柄の姉ちゃんの指摘を受けてそこで島風と長波姉の二人が少し目を腫らしながらも隠れていたところから出てきた。
「おうっ……朝霜、ゴメンね……今日はいの一番に会いに行けばよかったのに」
「そだなー……朝霜の胸の内を聞いてアタシ等ももらい泣きしちまったじゃないか……」
「お前ら、い、意地がわりーぞ! 聞いてたんなら最初からいろよ!」
「朝霜だって島風たちから隠れるようにしていたじゃん!」
「そうだぞ。だからお相子だ」
「うー……足柄の姉ちゃん、もしかして最初からこうなる事を見越していたんじゃないよな……?」
「さて、どうかしら……?」
不敵な笑みを浮かべる足柄の姉ちゃんに「やっぱり敵わないなぁ……」と改めて思い知らされることになった。
「朝霜。姉のあたしから言わせてもらうけど溜め込むのだけはよしてくれな? あたしだってあの時の悲劇は無念に感じるけど、それでも朝霜だけが生き残ってくれたのは艦娘になって後から知った身としては嬉しかったんだ。その後の活躍も聞いて胸が熱くなったのを覚えているもんさ」
「そうだよー。島風ももっともーっと走りたかったけど朝霜が代わりに走ってくれたんだから誇りにしてもいいんだよ?」
「長波姉、島風……」
それであたいはまた涙を流してしまう。
こんなのあたいらしくないと思ったけど長波姉と島風の二人があたいに抱きついてきて、
「大丈夫だ……もう今は一人じゃないんだから思いを共有していこうぜ?」
「そうだよ……だから前を向いて走っていこうよ朝霜」
「……そうだな。うん、ありがとな二人とも」
「おう!」
「うん!」
あたいは二人にお礼を言った後に改めて相談に乗ってくれた足柄の姉ちゃんに向かい合って、
「足柄の姉ちゃん、ありがとな。姉ちゃんのおかげでなんか気分が楽になったしこうして長波姉と島風とも話せたから」
「いいのよ。こういうのは大人の特権なんだから!」
「いよ! さすが飢えた狼! 言う事が違うねぇー!」
「長波ちゃん……あなた、アタシの事を馬鹿にしているでしょう?
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