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レーヴァティン
第二十八話 団長の依頼その四

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「堅固な城でござる」
「この城もまた、か」
「そうでござる」
 こう言うのだった。
「堅固でそして」
「戦う為の場所か」
「そうでござる、護りは確かに堅固でござる」
「難攻不落か」
「そう言っていいでござる」
 この城はというのだ。
「まさに」
「難攻不落か」
「しかしでござる」
「さっき話した通りにか」
「騎士は何か」
 進太はまたこの話をした。
「民を護るものでござる」
「民を護れないでな」
「城を護れるか」
「例え護れてもな」
「何の意味もあり申さぬ」 
 そうしたものだというのだ。
「所詮は」
「だからか」
「はい、この内城は堅固でも」
 そうであってもというのだ。
「何の意味もあり申さぬ」
「日本の城で行ったらここは本丸か」
「そうなりますな、確かに」
「本丸だけになったらな」
「どんな城も最早」
「終わりだな」
「大坂城然り」
 家康に冬の陣の後で内堀まで埋められてしまった、そしてその惨状で次の夏の陣で陥落してしまった。
「そうなってしまっては」
「どうしようもないよな」
「ですからこの堅固さは」
「意味のない堅固さか」
「しかしでござる」
 意味がない、最早ここまで追い詰められてしまってが敗北は決定してしまったものだからだというのだ。
「堅固でなければ」
「駄目だよな」
「騎士の城でござるから」 
 即ち戦う者の場所だというのだ。
「ですから」
「堅固でないとな」
「なりませぬ」
「そうだよな、やっぱり」
「城の中で暴動が起こって攻めてきた場合は別でござるが」
「ああ、城の中での騒動はか」
「その際は役に立ち申す」
 そうだというのだ。
「その場合は」
「まあそうした場合はな」
「役立つでござる」
 その堅固さがというのだ。
「充分に」
「敵は外敵だけじゃないか」
「城の中にいる場合もあり申すな」
「敵が紛れ込んでいたりしてな」
「そうした場合はこの堅固さが役立ちます」
 こう久志に話した。
「その場合は」
「そうだな、外敵には意味のない堅固さでもな」
「中では違いまする」
「敵は中にもいる、か」
「内外にいるものでござるな」
「スパイだの裏切者だのな」
「どうしてもでござる」
 進太はさらに話した。
「裏切り者も出るでござる」
「出さないのがベストにしてもな」
「弱みに付け込まれた、私利私欲で裏切った」
 裏切る理由も様々だ、ここの事情があると言っていい。
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