EX回:第21話(改2)<艦娘たちの夢>
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「……かつて私は、この地から最後の出撃をした。だが、お前たちには、ここを新たな出発の地として欲しい」
「あ、あぁ」
意外な出来事の連続で思わず、しどろもどろになった。我ながら情けないことだが他の面々は退出していたので体面は保てた。
私はふと幼い頃、母親に抱かれた感覚を連想した。
(正直ハッキリと覚えては居ないが)
「お互い、為すべき事が多いな」
そう言いながら武蔵様はソッと私から離れた。
彼女は日向のような武人タイプだが、やはり内外共に大きなものを感じさせる艦娘だった。
「山陰の美保か……いつか必ず訪れようぞ」
「待っているよ」
最後には、お互い微笑みつつ敬礼をした。
そして私は部屋を出た。
廊下は既に暗くなっていた。薄暗い常夜灯を頼りに私は外へ向かう。何だかんだで、すっかり夜も更けた。
(技術参謀の暴走で、すっかり疲れたな)
屋外に出ると、その参謀たちが待っていた。
「おぉ、来たな」
「最後に武蔵さんにダメ押しで詰められたんですか?」
余計なことを聞く青葉さんだな。
「まぁ……そんなところだ」
私は適当に誤魔化した。
「ひゃあ」
まだ先のトラウマが残っているのか青葉さんは素頓狂な声を出す。
「お疲れ様でした」
夕張さんが気の利いたことを言う。
私は頷いた。
「じゃ行こうか」
だが案内役の五月雨が妙に黙っていた。
「どうした?」
「提督……」
彼女は思い詰めたように私を見上げて言う。
「は?」
私は立ち止まった。
五月雨は決意したように言った。
「私も美保へ連れて行ってください!」
「は、はぁ?」
驚いた。開いた口が塞がらない……。
いや私だけでなく周りの艦娘たちも驚いた。
(どうして私の周りの艦娘たちは突拍子も無い行動を取る娘ばかりなんだろうな)
思いっきり引いた私は慌てて応えた。
「いや、急に言われても……な? 大将の意向とか、そもそも異動には軍令部の許可が要るだろう」
「そうだよ」
川内がカットイン。
「艦娘の意思だけで異動できる訳ないだろ」
「五月雨よ」
いきなり背後から武蔵様が現れて一瞬ドキッとした。
私の前にいる五月雨もハッとしたようだが、そのまま黙っている。
武蔵様は、ちょっとため息をついた。だが、その表情は意外に穏やかだった。
そして少し微笑んで話し始めた。
「お前の気持ちも分からくはない。何しろ美保の連中はオリジナル艦娘だからな」
(そういうことになるか……全然、意識したことも無かったが)
彼女は続ける。
「だが我々は艦娘だ。希望を持つことは咎めないが、それ以前に軍人だ。お前の行動は軍として、あってはならない」
「……」
五
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