ep3 歪みに生きる私は
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った。
続いて、ラオホゥから新たにMSが射出された。ティエレン宇宙型3機とラオホゥ1機がこちらへと進行してくる。
『少尉、今から対MS模擬戦に入る。プログラムに従って仮想敵との戦闘を行ってくれ』
「了解」
ピーリスはヘッドディスプレイに表示された行程を確認した。ティエレン1個小隊の攻撃を切り抜け、後方に構えるラオホゥを叩く。対艦隊戦特化のトゥーオゥらしい戦法だ。
ティエレンが滑空砲を放ってくるのを、ピーリスは機体を操作して躱す。機体が彼女の感覚についてきて、実弾を軽々と回避していく。見た目とは裏腹な身軽さに彼女は驚いた。
順調に進む模擬戦の中で、ピーリス技術士官の言葉を思い出す。
ーー『上層部の一部で、ソレスタルビーイングへの第2の物量作戦について話し合われている』
ーー『そこでトゥーオゥは、ソレスタルビーイングのスペースシップに攻撃をかけることになるかもしれん』
合同軍事演習の場を提供した人革連は、作戦の失敗により世論の非難を受けている。さらに新たなガンダムが出たため、これ以上のリスクを負って物量作戦を実行することは考えにくい。 スミルノフ中佐はそう話していた。
ーーそれでもソレスタルビーイングを倒すことができるなら、私は戦う。
ティエレンの攻撃を抜けたトゥーオゥは、さらにスピードを上げてラオホゥの前方に躍り出る。右腕に装備したリニアカノンをラオホゥに向けたところで、コクピットに通信が入った。
『プログラム終了。これで模擬戦を終了する。少尉、ご苦労だったな』
「母艦に帰投します」
ピーリスは模擬戦を行ったティエレンたちの後に続く。
トゥーオゥの力は確かだ。ピーリスは、自分がこの機体を駆ってガンダムと戦う姿を想像する。彼らの母艦に一撃を食らわせるトゥーオゥは、まさに世界の答えを代弁しているようだった。
ーー軍部の思惑が何にせよ、私は指示に従って戦うまでだ。
ーー私は戦争の中で生きる兵器、超兵なのだから。
ソレスタルビーイングは戦争を世界の歪みとして、武力による戦争根絶という矛盾行為を行っている。そして、それを止める正当な行為というのもまた、武力だとピーリスは考えていた。
ーー私は戦う。それが、歪みに生きる私の存在意義だ。
終
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