ep3 歪みに生きる私は
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「何か?」
「テストパイロットはもう1人いてね。ただ彼ではトゥーオゥを上手に扱えなかった。そこで超兵である少尉の力を借りることにしたんだ」
ピーリスは再びテスト機を見やる。形状からもトリッキーな機体であることが窺えるが、彼女は淡々と言った。
「分かりました。すぐに始めますか?」
「そうだな……。1時間後にテスト飛行をしよう」
「了解」
ピーリスは技術士官に敬礼し、その場から離れた。
タオツー以外の機体に乗るのは極めて珍しい。だが、ピーリスの心は特に高揚することも緊張することもなく、平坦だった。
ーー私は戦いのために生み出された存在。これもまた戦争の一環であって、私はそれに従うまでだ。
だが、それとは別にスミルノフ中佐の言葉が脳裏で再生される。
ーー『テスト機は安全性が担保されていない。異常には備えておくんだ』
中佐はいつも的確な判断や忠告を部下に与える。ピーリスは彼の言葉に心中で頷き返した。
1時間後、ピーリスは時間きっかりに技術士官の前へやってきた。パイロットスーツは超兵用ではなく、一般で使用される物に変更してある。
「時間ジャストだな。よし、じゃあよろしく」
「はッ」
ピーリスはトゥーオゥのコクピットハッチを開け、中に入る。ここの作りは今までのティエレンと同じだった。
コクピットは全周モニターのタオツーとは違い、宇宙用ティエレンと同型を使っている。
「機体状況確認、各部接続異常なし。オールグリーン」
『ラオホゥ出撃後、テスト飛行と実戦運用をしてもらう』
「実戦運用?」
ピーリスは思わず眉を寄せて聞き返してしまう。そんな話は聞いていなかったのだ。
技術士官は軽い調子で言葉を続ける。
『スミルノフ中佐には反対されたんだけどな?大事な部下を完全体でないMSでは戦わせられないと。だが安心してくれ。模擬戦だ。確実に仕留めるまではいかないさ』
「中佐は承諾されたのですか?」
『説得、というか理詰めで抑えたよ。ピーリス少尉は超兵1号として、軍の未来に繋がる任務に就くのだと話した。さて、お話はそろそろ終わりだ』
技術士官はピーリスの言葉を待つことなく回線を切る。彼に聞きたいことはいくつかあったが、ピーリスは無理やり頭を切り替えた。
「ティエレントゥーオゥ、発進します」
ラオホゥのハッチが開き、機体が宇宙に射出される。ピーリスは機体のテスト飛行を始めた。
性能については良好だった。対艦隊戦をコンセプトにしているだけあって、機動性は高く、運動性もタオツー並だ。機体制御はやはり一般機よりも扱いづらいところがあるが、ピーリスには特に問題なか
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