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星雲特警ヘイデリオン
番外編 星雲特警メイセルド
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も意識すらない。彼女の味方など、自分以外にはどこにもいないのだ。

 彼は焦燥を露わにして、アリエッタを探して飛び回る。――シルディアス星人に追われていた子供を見つけたのは、その最中だった。
 幼い金髪の少年は、生まれて間もない赤子を抱え、血塗れになりながら逃げ惑っている。赤子の薄い金色の髪を見るに、恐らくは血を分けた弟なのだろう。
 そんな懸命に弟を守ろうとしている彼を、シルディアス星人達はじわじわといたぶっていた。

 ――アリエッタを守れるのは、意志を持った機竜である自分しかいない。1分1秒の遅れが、彼女の生死を分ける。

 それを理解していながら、グラムは弾かれるように翔び――シルディアス星人達に襲い掛かっていた。
 「奴ら」によって「牧場」にされた故郷に、どことなく似ているこの街で暮らしていたのであろう、この兄弟を……グラムはどうしても、放っては置けなかったのである。だが、兄の方はすでに手遅れであった。

 程なくして力尽きた金髪の少年――「ヘイデリオン」の骸から、泣き?る赤子を預かったグラムは新手の接近を感知すると、咄嗟に近場の樽に赤子を隠し、オアシスの下に沈めた。
 ここまですれば、さすがにシルディアス星人も気づかないだろう。その可能性に賭けた彼は、自分を包囲してきた新手に、敢然と挑もうとしていた。

 ――遥か上空から急降下し、加勢に駆けつけた星雲特警との邂逅を果たしたのは、その直後である。エメラルドの外骨格を纏う彼は、自分に指示を送りながら紫色の光刃剣を振るい、瞬く間に新手を斬り捨ててしまった。
 そんな彼に、グラムは暫し唖然としていたのである。まさか星雲特警の中に、機竜を守ろうとする変わり者がいたとは思わなかったのだ。

 そしてグラムは、そんな彼に赤子を託すことに決めたのだ。これほど情に厚い星雲特警なら、この子を守ってくれるかも知れないと。
 彼はオアシスから樽を引っ張り上げると、その中に隠していた赤子を星雲特警に預け、すぐさま飛び去ってしまった。

 ――あの星雲特警は、自分に「意志」があることに勘づいていた。あまり近くにいると、自分のことを上に報告される恐れがある。それでなくとも、今はアリエッタの安否が気掛かりなのだ。赤子を託した今、もう彼の近くに立つ理由もない。
 そういった事情から、グラムは翡翠の星雲特警を一瞥しつつ――疾風のように姿を消した。

 ……のだが。心のどこかでは、名残惜しくもあった。
 自分達を単なる兵器とは見做さない。そんな奇特な星雲特警が、彼にとってはどこか微笑ましかったのである。

 しかし。

 彼ら2人が生きて再会することは、永遠になかった。

 最愛の幼馴染(アリエッタ)を、この戦いによる傷で喪い。自分自身も廃棄されたグラムは――「最悪の機竜
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