番外編 星雲特警メイセルド
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を真っ直ぐに見据えて急降下していく。
コスモアーマーの耐衝撃性能に物を言わせ、翡翠の星雲特警が砂礫の街に着地したのは、その直後だった。
激しい轟音と共に砂埃が舞い上がり、シルディアス星人達の眼光が向けられてくる。その殺気に怯むことなく、メイセルドは紫に輝く光刃剣を引き抜いた。
「そこの機竜、今だッ!」
「……!」
その刃に、シルディアス星人達が警戒する瞬間。注意が外れていた機竜は、メイセルドの言葉に顔を上げ――翼に備えられた鉄の爪を振るい、凶戦士達を一気に斬り伏せた。
それでも全滅させるには至らなかったが……シルディアス星人達が機竜に襲い掛かるより速く、メイセルドの剣が彼らを切り裂いていく。
星雲特警と機竜。彼らのアイコンタクトによる連携攻撃で、このオアシスに集まっていたシルディアス星人は、瞬く間に一掃されてしまうのだった。
――こんな芸当、自我のない機竜には絶対にできない。
「なぁ、君は……」
「……」
「……」
そう思い至ったメイセルドは、こちらをじっと見つめる機竜に視線を合わせる。だが、鋭い牙を備えた彼の口から、言葉が発せられることはなかった。
――自我を持った特異な機竜ではないか。そんな自分の推測を捨てきれないでいたメイセルドは、何も語らない機竜を静かに見つめる。
やはり、違うのだ。意思を持たない機械の域を出なかった、他の機竜とは……どこか。
だが、機竜の口から何かを語ることはなく。彼はやがてメイセルドから視線を外し、背を向けてしまった。
(……戦うことしか知らない、自我のない機械。だから、次の獲物を探しに行こうとしているのか……)
その挙動から、やはり自分の思い違いだったのか――と、メイセルドは肩を落とす。もしかしたら、機竜を救うきっかけに繋がるかも知れないと思っていただけに、その落胆は軽いものではなかった。
――が。
「……!?」
機竜は、次の獲物を探しにいく……のではなく。オアシスの中に顔を突っ込み、水飛沫を上げて何かを引っ張り出して来た。
大口に咥えられていたそれは――樽。オアシスの中に沈められていた、その樽をメイセルドの前に置いた機竜は、視線で訴えていた。これを開けろ、と。
「なっ……!」
それに促されるまま、樽の蓋を開けた先には――わあわあと泣き喚く、赤子の姿があった。樽の中に閉じ込められた赤子を抱え上げ、メイセルドは機竜に視線を向ける。
(この機竜、赤子を樽に隠してオアシスに沈めていたんだ……! シルディアス星人から、この子を隠すために! やはりこの機竜、他とは――!?)
そして、彼の中にあった推測は確信に変わった。……だが、機竜は用は済んだとばかりに踵を返すと、今度こそ次の獲物を
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