番外編 星雲特警メイセルド
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、俺ら星雲特警が関与するような話じゃない」
「そ、そんな……!」
「どうせ機竜にされてる人間なんて、他に使い道のない最下級人類だ。それにあいつらには自我もない。自分が生きてるか死んでるかも分からない、機械と何も変わらない連中に……俺らがいちいち構う理由があると思うか?」
「……」
「……無駄口は終わりだ。今は、同じ星雲特警の仲間を助けることに集中しろ」
救うに値しない「命」。機竜にあるものはそれだけであると、言い切られて。経験の乏しいメイセルドは、それを否定する言葉を持てないまま――静かに自分を見つめる紅い瞳に背を向け、シュテルオンを走らせていく。
それから、間もなく。空を翔ける戦闘機の中で、彼は次の戦場を眼にした。
爆炎に巻き込まれ、吹き飛ぶ四肢。阿鼻叫喚に包まれた、砂漠。その渦中を空中から見下ろし、メイセルドは冷や汗を伝わせる。
どうやら砂漠の中にあった、オアシスの街だったようだが……建物は殆ど跡形もなく吹き飛ばされており、そこら中に骸が散乱していた。五体満足の遺体など、どこを探しても見つかる気配がない。
斃れているのはシルディアス星人だけではなく――コスモアーマーを纏う同胞や、この星の民間人もいる。
だが、最も多く戦場に散らばっていたのは、その誰でもなく……「命」にすら値しないと言われた、機竜達であった。よく戦局を見てみれば、負傷して翔べなくなった機竜を盾にした星雲特警達が、光線銃で応戦している光景が頻繁に眼につく。
体格が大きいことから、シルディアス星人に狙われやすく。「修理より新造する方が安い」という情報が浸透しているため、一度傷つけば容赦無く盾にされ。自我を持たないが故に、自分の最期を知ることもない。
この世界の理不尽さを集約したような、景色だった。上空からそれを見つめていたメイセルドは、唇を噛み締め両手を震わせる。
――自分達は本当に、この宇宙を守る正義の使者なのか、と。
「……!?」
そんな時だった。主戦場となっていた廃墟の街から、僅かに離れたオアシスの近くで――シルディアス星人に囲まれている機竜を見つけた。
仲間達とはぐれたのか。始めはそう思っていたメイセルドだったが、気づけば彼は、その機竜に注意を注いでいた。
――どこか、違うのだ。他の機竜とは、何かが。
「よし、G-17区域に到達した。メイセルド、降下の用意を――」
「すみません先輩、負傷者を見つけましたので!」
「――ちょっ、おい!?」
その直感が、若者を突き動かしていた。尤もらしい理由をつけて、先輩の言葉を遮りハッチを開いたメイセルドは、そのまま一気にシュテルオンから飛び降りてしまった。
いきなり奇怪な行動に出た後輩に驚愕する、星雲特警の声には耳を貸さず――青年は、例の機竜
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