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おぢばにおかえり
第四十二話 妹達の誤解その九

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「それと遠いですが吉野も」
「吉野も奈良県だから」
「はい、ただ奈良県の南は」
 こちらについてはです、阿波野君は微妙なお顔で言ってきました。
「吉野も遠いですが」
「南の方は山ばかりよね」
「そうです、吉野が入口なんですよ」
「その南の」
「そこから物凄い山ばかりで」
 何か聞いていると気が遠くなりそうなお話でした、兵庫県も太平洋側と日本海側の間にかなりの山地がありますけえrど。
「和歌山県との境なんてニホンオオカミが出るとか言われてますし」
「絶滅したでしょ」
「それが生き残ってるとか言われてるんですよ、あと妖怪のお話もありますし」
「妖怪もいるのね」
「はい、けれど奈良県南部全体の人口合わせても奈良市より少ないんですよ」 
 同じ奈良県でもというのです。
「これが」
「それはまた極端ね」
「僕が住んでいる宇陀も結構少ないですけれど」
「いや、市でしょ」
「その奈良県の北でも外れなんで」
 そうした場所にあるとのことです、どうもまだ奈良県全体の地図も頭に入っていません。住んでもう二年半になりますが。
「結構以上に田舎ですよ」
「それは前に聞いたわね、そういえば」
「あと冬なんかおぢば以上に寒いですし」
 あのおぢば以上というのも聞いていました。
「暮らしにくいんですよね」
「そうなのね」
「けれど南はもっと凄いですから」
 奈良県のそこはというのです。
「過ごすとなると覚悟が必要ですよ」
「そこまで凄いのね」
「平家の隠れ里もあったりしたそうですし」
「平家って」
「南朝もあったんですがね」
 このことは私も知っています、吉野にありました。
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