EX回:第18話(改2.2)<発覚>
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い鎮守府だけあって工廠も美保とは比べ物にならない大規模な建屋だ。全体は真っ暗だが一階の詰所で明かりが点いてる。
「こっちから入れます!」
妙に要領良く警戒もせず扉を開けた彼女。
その姿に私は、この川内は何か事情を知っているような気がした。
(ひょっとすると彼女も何か関係しているのだろうか?)
私は川内の案内に従って工廠の一階に入る。彼女に続き詰所に入って驚いた。技術参謀たちが椅子に座らされていたのだ。
思わず声が出た。
「参謀!」
「オウ」
(『オウ』じゃないよ……まったく)
だが……手錠はされてない。なるほど、だから気楽な返事が出来たのか。
彼女たちの前には『武蔵様』が腕を組んで立っていた。
何か尋問でもしていたのだろうか? 表情が険しい。
彼女は入室した私を認めると、こちらを見て言った。
「美保の提督殿。これは……どういうことだ?」
「えっと」
帽子を取って汗を拭う。正直、私にも何か訳が分からない。
改めて見ると技術参謀と青葉さん、それに夕張さんは壁際の椅子に並んで座らされていた。技術参謀は相変わらず平然としているが他の二人は、もう顔面蒼白だ。
(こんな修羅場、初めてだろう。可哀想に)
青葉さんは記者だから多少の場数は踏んでいるはずだ。それでも美保の二人は量産型とはいえ武蔵様の威圧感に圧倒されているようだ。
それが逆に全く動じていない参謀の図太さを際立たせている。伊達に軍令部で参謀やってるわけではないのだな。
遅れて寛代が入ってきた。すると技術参謀が急に表情を変えて叫んだ。
「寛代!」
「ママ!」
(はぁ?)
私と美保の二人は目を丸くした。
(ママって何のことだ。なぜ技術参謀が?)
そんな彼女の傍に寛代は駆け寄ると、すがりついた。
小さい駆逐艦娘を抱き寄せた参謀は明らかに母親の顔になっていた。
「来ちゃダメって言ったでしょ」
「まさか、親子?」
青葉さんが呟く。
それを見ていた武蔵様の表情が少し和んだように見えた。
「フン……参謀とやらの言ったことはウソではないようだな」
一体何が、どうなっているのか……参謀の娘が寛代?
武蔵様は大きくため息をついた。
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