ep2 矜持
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「なっ、何だとッ!」
グラハム・エーカー上級大尉の驚愕に満ちた声がミーティングルームに響く。ハワード・メイスンは彼の顔から、異常事態を悟った。
グラハム上級大尉が強張った顔で、今入った情報を口にする。
「ガンダムが出現したのは我々の基地だった……」
隣にいたダリル・ダッジが眉間に皺を寄せ、いつも以上に低い声で問いかける。
「現れたのは新型のガンダムですか?」
「それは分からない。だが、私たちの基地が狙われている。行くぞ、フラッグファイター!」
「「了解!」」
ハワードはダリルと共に言葉を返し、走り出すグラハム上級大尉に続いた。
目の前を駆けるグラハム上級大尉の背中を追いながら、ハワードは先日の大規模な戦闘を振り返る。
ジョシュア、ランディ、スチュアート。タクラマカン砂漠での合同軍事演習で、オーバーフラッグスは3人の優秀なフラッグファイターを失った。新たなガンダム3機の襲撃が予想外だったとはいえ、惜しい結果だった。
格納デッキに着き、自身のオーバーフラッグに乗り込む。サングラスを外し、ヘルメットを被って出撃準備を整えていく。
先ほど、ダリルは『ガンダムほどの性能を持つ機体があれば』とガンダムを羨んだ。だが、それはフラッグファイターの矜持に反する発言だとハワードは注意した。
ーーガンダムは確かに強い。だが、性能だけが全てではないと隊長も言っていた。
ーー俺たちはフラッグファイターだ。我が軍の最新鋭機を愛さずに、何を愛すれば良い?
ダリル機に続き、ハワードが機体を緊急発進させる。グラハム上級大尉に従って陣形を組み、MSWAD基地に急いだ。
「頼むぞ、フラッグ」
ハワードはコクピットで1人呟いた。しかし、武力介入の危機に瀕している基地は、まだ遠い。
MSWAD基地は遠目から見ても分かるほどに燃えていた。不吉な黒い煙が青空に上り、穏やかなキャンバスを汚している。
ハワードは、上空に飛んでいるガンダム3機がメインカメラのズームで確認する。合同軍事演習で突如現れた新型のガンダムだった。
グラハム上級大尉が怒りの声を吐き出した。
『堪忍袋の尾が切れた!許さんぞ、ガンダム!』
ガンダムの1機が先行し、こちらへ向かってきた。そのガンダムが小型ミサイルのようなものを射出し、グラハム機に迫る。だが、彼はそれを全て躱してライフルの弾をガンダムの胴体に打ちつけた。
ハワードは仲間と共にガンダムを牽制する中で、自身の発言を思い出していた。
ダリルの弱音を制し、矜持を持てと諭した。ハワードは本気でそう考えているし、グラハム上級大尉ならそれを体現できると信じている。
その一方で、ハワ
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