第1幕
ep1 閉幕前夜
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ね。あんた、いったい何者だ?あのデカい剣持ったガンダムをどうやって手に入れたんだ?」
ーーけっこう食い下がるな、こいつ。
サーシェスは内心で舌打ちをしつつ、顔に笑みを貼りつけた。
「私は一介の軍人に過ぎません。ただ強いていえば、ガンダムにコケにされた恨みを晴らすために動いただけです」
「ガンダムねえ。デカブツのことかい?」
パトリックが口にした『デカブツ』に一瞬だけ目を細めたサーシェスだが、すぐにその意味に思い当たる。
「いえ、巨砲持ちではなく、剣をアホみたいに装備したやつですよ」
「ああ……。って、また傷を抉るな!そいつは俺のイナクトをフルボッコにした機体だろ!」
ーーああ、そうか。クルジスのガキのファーストターゲットはこいつのイナクトだったな。
サーシェスにそういうつもりはなかったが、結果として話は上手く逸らせた。パトリックの話題はすでにスローネから離れ、自身に変な肩書きを背負わせたガンダムに移行していた。
「ま、正直お披露目会のことはもうどうでもいい。むしろ俺がこの作戦でガンダムに一泡吹かせる方が重要ってもんよ。何せ俺は、2000回以上の模擬戦で全勝したAEUのエースだからな!」
「誰かお探しだったんじゃないですか?」
「え?あっ!そうだった!あんたと無駄話してる場合じゃない!じゃ、行くぜ!」
パトリックはそう言い残して部屋を去って行った。後に残されたサーシェスはその単純っぷりに呆けてしまう。
「あんなやつが、よくエースになれたもんだ」
サーシェスは格納庫を振り返り、奪取したガンダムを見やる。
ーー単に恨みを晴らすだけじゃないぜ。ガンダムの力は戦争をするのに絶対必要だ。その機体に乗るからには楽しまなくちゃダメじゃねえか。
ーー潰して蹂躙して命の恋しさや愛しさに身を持って気づくくらいにいたぶって殺して、その逆もあって……。それが戦争だ。
整備クレーンやロボが予備パーツを抱えてスローネツヴァイの元に運んでいる。サーシェスはそれを見て愉快そうに口元を歪めた。
「へへっ、ご丁寧に予備パーツまでつけてくれるなんて。気が利くねえ」
これから繰り広げられるであろう、とんでもない戦争の予感にサーシェスは身を震わせながらガンダムを見つめていた。
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