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冬風に
さざめく樒
たれそ呼ぶ
沁みぬ下葉の
影に惑いし
もう風も冷たくなり、冬が本格的に来るのだな…。
そんな風にざわめくシキミは、一体誰を呼ぼうとしているのか…。
秋にも染まらず、冬が来ようが知らぬふり…。
そんなシキミを見上げれば、淡い木洩れ日に惑うように…彼を想ってしまう…。
彼とこうして…優しい木洩れ日を眺められたらと…。
侘しける
冬そ訪ねる
さみゝ夜の
閨に差しける
月の寂しき
なんと物寂しいことか…冬が訪ねてきたような寒い夜、もう虫さえ鳴かなくなってしまった…。
一人でいればしんと静まり返り…夏の躍動感も秋の流暢な虫の音もなく…耳に痛いほどの静けさだけが佇む…。
月明かりさえ冷たく感じるようになり…それが一人寝の部屋へ差し込めば、寂しく感じない訳がない…。
彼の温もりを求めるなど言語道断…だが、心ではいつも求めてしまい、そんな自分に苦悩する…。
私は死しても尚…一人なのかもしれないな…。
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