第5章:幽世と魔導師
第132話「驚異の片鱗」
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、瀕死の怪我を負い、治療を受けている状態です。また、何らかの原因で体も衰弱しているので、復帰までには時間がかかります』」
「『……そうですか。……体が碌に動かないのは、それが原因ですか』」
蓮さんは今の状況をあっさりと受け入れた。
まぁ、怪我を見た限りだけど、あそこまで圧倒的にやられればな……。
「『単刀直入に聞きます。……“何”がいましたか?』」
「『……正体は終ぞ掴めませんでしたが……途轍もない、強さの存在です。あれほどの強さを、私は見た事がありません』」
「『…………』」
念話……伝心が正しいならこれからは伝心と言おうか。
その伝心から伝わってくるその声色からも、恐怖が伝わってきた。
「『……姿は…』」
「『瘴気に覆われて良く分かりませんでした。……ただ、私達と同じくらいの人型で、刀を扱うという事だけは分かりました』」
「『……その刀で、首の傷が…』」
人型且つ、刀を扱う。その上で蓮さんを圧倒する強さ……。
……これは、余程近接戦の心得がないときついな。
「『……膝を付き、無防備になった所までは認識できています。その直後に、この船へと召喚されました』」
「『その一瞬の間に、首が斬られかけたのか……』」
型紙による召喚は、魔法での転移よりも発動が早い。
それこそ、僕がいつも使う短距離転移よりもだ。
それなのに、その一瞬にも満たない間に首が……。
本当に、ギリギリすぎて背筋が凍る思いだ。
「『……体が衰弱している事に…心当たりは?』」
「『……おそらく、姿が見えない程の濃い瘴気が原因でしょう。……あれは人に害を齎します。そして、それは式姫も例外じゃありません。傷を負った事で、その瘴気に蝕まれたという事でしょう』」
「『厄介にも程があるだろう……』」
強さは計り知れない。おまけに瘴気の影響もある。
瘴気は浄化する事ができるだろうが、戦闘と同時にそれを行うのは……。
「『とにかく、今は大人しく回復を待ってください』」
「『……わかりました。……ご武運を』」
自分の状況は理解しているのか、僕の言葉に蓮さんはあっさり従った。
伝心を解いて、黙ってみていた椿たちに向き直る。
「……蓮ちゃんはなんて?」
「ご武運を……だってさ。それと、皆の所に戻りながらだけど、蓮さんを襲った存在について少し話そう」
「あ……えっと、私は残っててもいい?」
クロノ達の所に戻ろうとしたが、そこでアリシアがそういう。
おそらく、蓮さんが心配なのだろう。
「……わかった。一応、デバイスを通して情報は送っておく」
「うん」
契約した式姫且つ、霊術のもう一人の師匠でもある。
だから
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