第5章:幽世と魔導師
第132話「驚異の片鱗」
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た…つまり、首を断たれるタイミングで転移した事になるんだ。」
「それって……斬られたからこうなったんじゃなくて、斬られてる途中だったの!?」
「それも、ほんの一瞬の間のタイミングでな」
ほんの僅かでも早ければ、首の傷はなく、遅ければ蓮さんは死んでいた。
それほどまでに、絶妙と言うか……まさに紙一重のタイミングで助けれた訳だ。
「…………っ………」
「……それに、意識もある。つまり、蓮さんをこうまで圧倒的に追い詰める程の存在が、向こうにいたという事だ」
首を斬られ、おまけに満身創痍だったから言葉を発していなかったが、蓮さんは明らかに意識を保っていた。
……尤も、ここまでボロボロなっていれば意識も薄くなっているが。
「それは……」
「……少なくとも、剣士としての腕前は僕や恭也さんを上回るはずだ。……なのに、そんな蓮さんがこうまであっさりと……」
念話が途切れてから40秒程だ。……その短時間で、蓮さんはここまでやられた。
「っ………」
「……とにかく、治療に集中しよう」
僕の言葉を理解した人達は、揃って恐れを抱いた表情をした。
この短時間で満身創痍……いや、殺す寸前まで追いやられたのだから、当然か。
クロノの指示を受けた人がストレッチャーを持ってきたので魔力で浮かせて乗せる。
医務室へと運ばれるので、僕も治癒術を掛けながらついて行った。
他にも椿と葵、司や奏、アリシアもついて来た。
「……応急処置のおかげで、命に別状はありません。血も貧血になるほど流した訳ではないので、治癒魔法を掛け続ければすぐに治ります。……ただ、原因は不明ですが体が衰弱してしまったようで、復帰までには時間がかかります」
「そうですか。よかった……」
医師からのその言葉に、命は助かったのだとアリシアは安堵する。
首の傷もある程度塞がったので、後はアースラの設備に任せればいいだろう。
……後は…。
「…………」
蓮さんの手に触れ、霊力で念じる。
「『……蓮さん、聞こえますか?』」
「『……ここは、どこでしょうか?』」
「『アースラです。……以前話した魔法を扱う組織が持つ船の一つ…とでも言っておきましょう』」
体が衰弱したらしく、蓮さんはまるで眠ったような状態だった。
そこで、僕が霊力を使って直接触れる事で念話を使ったのだ。
「『念話の使い方をすぐに理解してくれて助かりました』」
「『念話……ですか。私としては伝心と変わりないのですが』」
伝心……?ずっと魔法と同じで念話と言っていたが、どうやら霊力の場合はこっちが正式名称らしい。……って、今はどうでもいいか。
「『……今の蓮さんは
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