第5章:幽世と魔導師
第132話「驚異の片鱗」
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は不可能。
転移魔法で呼び出すにしても、同じ事だ。
……待てよ?“呼び出す”?
「アリシア!型紙は持っているな!?」
「え?う、うん、契約時に貰った紙だよね?椿が肌身離さず持っておくようにって言ってたから持ってるよ!」
そういってアリシアは型紙を取り出す。
よし、これなら……。
「アリシア、言霊を使ってその型紙で蓮さんをここに召喚するんだ」
「しょ、召喚!?しかも、言霊ってそんないきなり……」
「シンプルなものでも構わない!早く!」
行うのは式姫の召喚。普段から式姫を連れられない場合に用いるものだ。
かつて“カタストロフ”との一戦で椿を僕の傍に転移させたのもこれだ。
それを使って、蓮さんをこの場に召喚する。
「え、えっと……来たれ!契約せし式姫、小烏丸!」
その瞬間、型紙が光に包まれ、アリシアの手元から離れる。
そして、光が治まると、そこには……。
首から血を流し、倒れ込む蓮さんがいた。
「っ……!?」
「っ、治療!急げ!」
周りからは短く悲鳴が上がる。
当然だ。見知った人が死に体でその場に現れ、倒れたのだから。
「い、一体何が……」
「判断は正しかった……!蓮さんは何者かに襲われていたんだ!」
傍にいた僕と椿と葵がすぐに治癒術を掛ける。
遅れてアリシア、アリサ、すずかも駆け寄って治癒術を掛ける。
「医務室の手配、急げ!」
「はい!」
クロノも指示を出す。
その間に僕は解析魔法を蓮さんに掛ける。
「(っ、こ、これは……!?)」
解析魔法を掛けたのは、傷の具合を知る事で適切に治療するため。
また、毒などを喰らっていないかを確認するためだったが……。
……これは……。
「……一瞬…いや、刹那でも遅ければ……蓮さんは、死んでいた……?」
「っ……優輝、どういう事?」
首以外にも傷は負っている。それこそ叩きつけられた打撲痕もあるし、回避し損ねたのか脇腹などにも切り傷はある。
……だけど、最も注目すべきなのは首の傷だった。
「……首の傷を見てくれ。……ああいや、アリシア達は見るのが辛ければ聞くだけでいい」
治療をしながら僕はそういう。
首の傷はまだ塞がっていない。一応、既に止血している。
「一見、回避できずに斬られたように見える傷なんだが……」
普通、斬られた傷だけではどんな風に斬られたなんて大まかにしかわからない。
余程の剣に精通している者ですら、詳細は分からないだろう。
けど、僕は解析魔法でそれがわかる。……だからこそ、背筋が凍る思いだった。
「……これは、転移のその瞬間、刃が喰い込んでい
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