EX回:第16話(改2)<諜報活動>
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無く腹の探り合いをしている段階だ。
彼も私も互いに帝国海軍の軍人である以上、状況分析は不可欠だ。たとえ、それが友軍であっても……だ。
実は会話など相手から得られた情報に、あまり価値はない。自らの兵隊を使って調べてこそ本物なのだ。
だが私も友軍に危害を加えるつもりは全く無い。そこは「大人」の対応だ。お互い本音は言わずとも適度に腹の探りあいをして上手く済ませたいものだ。
それはきっと相手も同じだろう。だから彼は祥高さんを厨房に招き入れてレシピを教えながらイロイロ聞き出そうとしているのだ。
だが祥高さんもホンワカしているようで案外ガードは固い。そう簡単に必要以上の情報は漏らさないだろう。
(私が軍人で無ければ、こんなことはしなかったな)
いつの間にか私自身も軍隊の指揮官としての行動パターンが染み付いてしまったようだ。
「ん?」
ふと視線を感じた。日向か。
「それは避けられません」
彼女は意外なことを言う。まるで私の心を覗いているようだ。
思わず彼女の顔を見ると日向は言う。
「司令、この距離だと感情の動きが分かってしまうよ」
「そうだな」
さすがに戦艦になると感情面でも、かなり洞察の幅が広くなる。
「失礼ながら敢えて司令の欠点を挙げるとしたら、その優しさだね」
彼女の言葉に私は苦笑した。
「ああ、気を付けるよ」
そうだ、ここも最前線なのだ。私は感情を出さないように改めて注意した。
やがて寛代は通信を終わった。それを見た日向は再び椅子に深く腰をかけた。今のところ、この部屋に居る他の者には気付かれていないようだ。
私は聞いた。
「あいつら今どこに居るんだ?」
「……」
寛代は無表情でボーっとしている。この艦娘は相変わらず直ぐに反応しないよなあ。
私が軽いため息をついてグラスを傾けると彼女はボソッと言った。
「工廠」
「えぇっ、まさか」
思わず大声を出してしまった。日向も少しビクッとしている。申し訳ない。
私は慌てて提督を見たが……彼はレシピを教えるのに夢中で大丈夫そうだった。
そのカウンターの脇では提督の目を盗むように、うちの赤城さんが炊飯釜を抱えて直接食べていた。
(そうか君は最初からそれを狙っていたんだな)
いつの間に釜を「確保」したんだよ……ったく。
彼女を筆頭に店内は、かなり無礼講の様相を呈してきた。そんな状況で周りが大丈夫そうなのを見た私は改めて小声で寛代に聞いた。
「工廠に居るのはウチの誰だ?」
「技術参謀と青葉、夕立」
今度の寛代はボソボソと即答した。
「なんだ全員揃って……ってか、参謀は何を出歩いているんだよ?」
『病人』のくせに。私は呆れて頭をかいた。
(ま、
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