アージェント 〜時の凍りし世界〜
第三章 《氷獄に彷徨う咎人》
舞うは雪、流れるは雲A
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トにも匹敵する加速を見せたミミは、再びの激突に飛散する雪に紛れ距離をとる。
「っ!?逃がさない!!」
シャマルが探知魔法を使い、ミミの位置を探る。が、分かったところで機動力の差は歴然であり、ザフィーラの採れる戦術もカウンター頼みだけとなる。
しかし、ザフィーラは決して不利とは考えなかった。そもそも彼は盾の守護獣。後手を制する事こそ彼の本領。そういった意味では、今の状況もそう代わり映えはしない。まして、相手の攻撃は防げる。ならば、相手が根負けするまで防ぎきる。それでこその守護獣である。
他方、ミミには焦りがあった。元々、ミミの魔力量はそこまで多くない。無論、主である暁人から供給してもらう事も出来るが、その暁人も強敵と対峙しているであろう現在、その手はとれない。
で、ある以上は、遠からず限界が来る事をミミは分かっている。と、なれば、それ以前にあの二人を降さねばならない。しかし、ザフィーラの予想以上の防御力に対し、決して楽観は出来なかった。
「………それなら、」
ミミが方針を固める。いつまでも有利が続かないのなら、有利な内に最大火力で沈める。ザフィーラさえ仕留めれば、シャマル単独ではミミに太刀打ちは出来ない。
「ム………!」
足を止め、その場に蹲るミミ。仕掛けてくる、そう直感したザフィーラは魔法陣を展開し、防御姿勢にはいる。
爆音。
降り積もった深雪を蹴散らし、一発の砲弾と化したミミがザフィーラに突貫する。目にも留まらぬその速度に、しかしザフィーラはピンポイントでタイミングを合わせてガードしている。
そして、何度目とも知れない激突の衝撃がーーーーー訪れなかった。
直前で真上に跳躍したミミ。再び爆発めいた風圧で雪が舞い、彼女の行方を覆い隠す。空中で一回転したミミは鉛直にザフィーラを見下ろす。そして、上方向の勢いの消えない内に虚空に壁を作り、思い切り蹴飛ばした。
再度加速するミミ。重力の恩恵を受けた彼女は流星もかくやという速度でザフィーラに迫る。それは、無音なのでは無く、相手が音を聞くより疾く、沈黙へと誘うことから名付けられた一撃。
ーーーーー《サイレント・アヴァランチ》
そして、世界から音が消えた。
屋敷は既にその原型を留めてはいなかった。無数の氷の刃に貫かれ、引き裂かれ、見る影も無い程に破壊し尽くされている。その瓦礫の上で暁人は、十数メートル先に立つ二人の守護騎士に内心称賛を送っていた。
暁人が家に仕込んでおいた罠はシンプル。家中の至る所に仕掛けた魔法陣から、任意のタイミングで氷の槍を射出する罠。その全てを一点に集中させて斉射したのだ。
これで倒せるとも思ってい
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