ペルソナ3
1871話
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「ちょっと、何よこれ」
ゆかりの口から出る、不満の声。
まぁ、分からないではない。
ゆかりが影から姿を現した瞬間、シャドウは即座にその場から逃げ出したのだから。
俺がシャドウを見つけ、そこに有里とゆかりの2人を運んだ直後の出来事。
そうして、俺の予想が……シャドウはゆかりを見たり感じたりして逃げているのだという事が、これ以上ないくらいはっきりと証明された瞬間だった。
ゆかりも、それが分かっているからこそ、ああやって不満を口にしているのだろう。
「……取りあえず、どうする?」
「アクセル、もう1回シャドウを見つけてきてくれる? 今度は有里君じゃなくて、私だけをシャドウの近くに運んで欲しいんだけど」
ゆかりが不本意そうにそう言うのは、シャドウが逃げる原因が有里にあるのではないか……そう思っての事だろう。
いや、有里が……って意味なら、さっき真田と一緒に転移させた時に普通に戦えてるんだけどな。
だが、正直にそれを口にしても、恐らく素直に受け入れる事はないだろう。
分からないでもない。
何しろ、本来ならこっちを襲うシャドウが、逆にゆかりに襲われるとでも言いたげに即座に逃げ出しているのだから。
ゆかりにとっては、到底容認出来るような事ではないのだろう。
「まぁ、いいけど……一応、有里を真田達の場所に戻してからでいいな?」
「……ええ」
何かを我慢しているような口調で頷くゆかり。
有里は触らぬ神に祟りなしとでも言いたげに、ゆかりから距離を取り、こちらに視線を向けている。
それは、お前が早く何とかしろよと、そんな風に言っているように見える。
いや、実際にそう思っているのだろうが。
そんな訳で俺はゆかりが爆発するよりも前に一旦真田達がいる場所まで影のゲートを使った転移で戻る。
「ん? どうしたんだ?」
戻ってくるのが早かったからだろう。真田は不思議そうな視線をこちらに向けて尋ねてきた。
だが、転移する前に少し話していた荒垣は、大体事情を理解したのだろう。あちゃぁ……という表情を浮かべつつも、納得の表情を浮かべていた。
だが、それも当然だろう。
そもそもの話、消去法でシャドウが逃げる原因はゆかりと荒垣のどちらかだったのだから。
「ちょっと確認したい事があってな。悪いが少しの間、有里の護衛は任せる」
それだけを告げると、有里をこの場に残し、俺は再びゆかりと共に転移する。
「あ、おい、ちょ……」
真田が何かを言っていたようだったが、今はとにかくシャドウが逃げ出す原因が本当にゆかりなのだという確証が欲しい。
「荒垣」
「あー……分かった」
真田の言葉を半ば無視し、荒垣を連れて影に沈んでいく。
そうして荒垣と2人で姿
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