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ヘタリア大帝国
102部分:TURN10 アイドルレーティアその六
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TURN10 アイドルレーティアその六

「そんでコンサート開くんよ」
「ああ、ファンシズムだから」
「そうそう。アイドルでもあるんよ」
「それは羨ましいね」
 リトアニアはぽつりと本音を漏らした。
「国家元首の方が歌って踊ってくれるって」
「ソビエトにはないん?そういうの」
「歌はあるよ」 
 それはあるというのだ。ソビエトにもだ。
「けれど。それでもね」
「それでも?どないしたん?」
「革命とか。そういう歌ばかりで」
「ふうん、そうなん」
「それで歌うのがロシアさんなんだ」
 ここでいよいよだ。電話の向こうのリトアニアの顔と声が暗くなる。だがポーランドがわかるのはそのうちの半分、彼の声の調子だけである。
「民謡とかもあるけれどね」
「ロシア?あいつやっぱりまだ怖いん?」
「それは言わないけれど」
 もっと言えば言えないことだった。
「とにかくね。カテーリンさんは真面目だし」
「真面目なん。あの娘」
「すっごく真面目だよ」
 リトアニアの顔と声はさらに暗くなる。
「もうね。学級委員長、いや生徒会長かな」
「学校?」
「そう、学校みたいな感じだよ」
 それがソビエトだというのだ。
「それでさ。凄く厳しくて」
「そんなに?」
「生徒会長兼学級委員会議長兼風紀部長かな」
「それって全権ちゃうの?」
「まさに全権だよ」
 リトアニアの顔がまた暗くなっていた。
「それで凄く真面目な人で」
「ふうん、真面目なのはいいことって思うけど」
「確かに国家運営は順調かな」
 誰から見てそうなのかは言わないリトアニアだった。
「とりあえず。俺生きてるから」
「だったらええけど」
「そのことは心配しないで。とにかくだよね」
「そう、俺これからドクツに入るから」
「元気でね。ドイツさん達と揉めないでね」
「平気平気オーストリアさんもいっし」
 だからだというのだ。
「特に寂しくないと思うんよ」
「だったらいいけれどね」
「じゃあまた電話すっから」
 何があっても気楽な感じのポーランドだった。
「今から招待されているコンサートに出っから」
「うん、楽しんできてね」
「そうすっから」
 こんな話をしてだ。ポーランドは電話を切った。そうしてだ。
 家を出て国民達にだ。こう言うのだった。
「じゃあ今からコンサート行かん?」
「ええ、それじゃあ」
「今から行きましょう」
「まあ負けたけど俺等生きてるしーーー」
 ポーランドは項垂れている国民達にもこう言う。
「気を取り直してコンサート聴きに行こうな」
「何か祖国さんにそう言われると」
「かなり気が楽になりました」
「本当に」
「そうそう。負けたけど何とかなるんよ」
 ポーランドは生きている。それならばだというのだ
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