第四十二話 竜の羽衣
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
髪の女の子を見つけた。
(あの黒髪……本当に日本人の末裔なのか)
『魅惑の妖精』亭のジェシカが、『タルブ村に実家がある』と言っていた事を思い出し、
(彼女も日本人の末裔だったのか)
と勝手に納得した。
黒髪の少女と目が合い、マクシミリアンはニコリと微笑んだ。
「さっきも言ったけど言い値で構わない」
「は、はい……でしたら10エキューで……良いよな? 母ちゃん」
最後の部分を小声で言い、女房はコクコクと小刻みに頷いた。
「安いな、本当に良いのか?」
「税も軽くなり十分に食べて行けます。なにより殿下のお陰でございます」
「欲が無いね。それじゃ、10エキュー、少し色を付けておいたから」
「ありがとうございます」
マクシミリアンは懐から財布を出しエキュー金貨の入った布袋を木製のテーブルの上に置いた。
「マクシミリアンさま。余り長居するのも良くないかと思いますわ」
「そうだなカトレア。そろそろお暇するよ」
とマクシミリンは言ったものの、家の中から漂ってくる懐かしい匂いに帰る足も鈍った。
永らくハルケギニアの生活に慣れ親しんできたが、魂に刻まれた『日本人的なもの』が醤油の匂いを嗅ぎ分けたのだ。
「いい匂いがするね。どんな調味料を使っているのか教えて欲しい」
「ウチのひい爺さんが作った調味料で、我が家に代々受け継がれた物です」
「その調味料の製法。これぐらいで売ってくれないか?」
マクシミリアンは、財布からさっきの倍のエキュー金貨を鷲掴みして布袋の隣に置いた。
☆ ☆ ☆
夜になってマクシミリアンたちは、宿舎となる前の領主の館に泊まる事になり。そこで出された地元の名物の『ヨシェナヴェ』を食べる事になった。
「とっても美味しいですね」
カトレアは、ニコニコしてヨシェナヴェに舌鼓を打っていた。
一方、マクシミリアンは無言のまま黙々と食べていた。
「どうされたんですか? マクシミリアンさま。口に合わなかったのですか?」
「ん? ……ああ、美味しいよ」
「?」
首を傾げたカトレアに、マクシミリアンは別の話題を挟んだ。
「タルブのワインは気に入った?」
「わたし、ワインを余り飲まないんですけど。とっても飲みやすくて美味しかったですわ」
「良かった。それじゃ、これからも贔屓にしようか」
「はい、マクシミリアンさま」
賑やかさを取り戻し、マクシミリアンとカトレアは夕食を楽しんだ。
……
床に入ったマクシミリアンとカトレアだった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ